このブログを読んで、なんだか好みが支離滅裂なヤツだな、と思ってらっしゃる方も多いかもしれません。

たしかに好みは激しいし、昔の産業ロックやニューミュージック、J-POP以外はほとんど拒否せずに聴いているので、首尾一貫したものは見つけにくいのかも。

でも自分の中では、コアにあるのは70年代ブリティッシュロックと、80年代ニューウェイブ+オルタナティブだと思ってます。
その中でも80年代イギリスでのミュージックシーンの地殻変動とともに出現したニューウェイブ系のムーブメントは、計り知れない影響を持っており、自分の音楽の嗜好性を180度変えたと言っても過言ではありません。

ブログを始めた時も、この時代に出会った素晴らしい音楽たちを少しでも皆さんに伝えることができれば、という思いがあったのも事実。

この時代を代表するミュージシャンは、それこそ数えきれないほどいるわけですが、その中でもマイナーな存在でありながらも格別な思い入れを持っているミュージシャンがあります。

それがタイトルの、ふたつの This  です。

そのひとつめ、This Mortal Coil

This Mortal Coil はすでに以前にも紹介していますが、4ADレーベルの主宰、アイヴォ・ワッツが当時のレーベルカラーそのもののコンピレーションアルバムとして企画、制作した、ミュージシャンというよりもプロジェクト。
アルバムを3枚リリースしましたが、ファーストでもっとも純度が高い音楽をやってますが、3枚とも4ADならではの美意識に貫かれた素晴らしいアルバムたちです。
これだけたくさんのミュージシャンが参加しながら、ひとつのトーンで覆い尽くされたコンピレーションアルバムも珍しい。
$煩悩の日々

音楽からイメージされる言葉は、耽美とか静謐というもの。
もちろん曲だけを見ると、そうではない曲も収録されているけれど、アルバムを通して聴くと、それ以外の言葉で表現できなくなる不思議さがあります。
ジャケットのアートワークも、見事にその世界観を表しています。

静謐、という言葉が似合うロックアルバムは、そうはないでしょうね。

This Mortal Coil のファースト It'll End In Tears では、圧倒的に有名なのが、ジェフ・バックリイの父親のティム・バックリイがオリジナルになる Song To The Siren のカバー。

コクトー・ツインズのエリザベス・フレイザーが歌うこの曲の美しさはこの世のものとも思えません。


同じ4ADレーベルで、12インチシングル1枚だけリリースして解散した Rema Rema 。
この12インチシングルがとんでもない代物で、当時アルバムが出るのを待ちわびながら聴き狂っていました。そのRema Remaのオリジナル曲をこのプロジェクトでカバーしたのがこの曲、Fond Affections です。


アルバムのオリジナル曲、FYT 。
深い青色の湖をどこまでも沈んでいくかのようなインストゥルメンタル。


おそらく好き嫌いのすごく出る音楽だと思います。
ダメな人には、暗くて気分が落ち込んでいきそうだと思うだろうし、好きな人には気持ちが静かに高揚するような、時間に溶け込んでいくような、そんな感覚を与えられます。

音楽は、これほどまでに人の心をを揺さぶり、深い感銘・感動を与える力があるものなのか。
その人の価値観や、その後の人生にまで影響を及ぼすような存在になり得るパワーを持つものなのか。

自分は、それだけの力を持つ音楽に、どれだけ出会えてこれたのか。
そしてこれから、どれだけの出会いを持てるのだろうか。

このふたつの This の世界に入る時、20年に渡り自分に問いかけてきました。

次回、ふたつの This のふたつめ、This Mortal Coil 以上に先鋭的であり、多くの人間の音楽観に影響を与えてきたであろうグループをご紹介します。