David Bowie The Man Who Sold The World
このアルバムへの思い入れは前回の記事で書いたとおりなんですが、このアルバムを評価する時にマイナスになりやすいのがヒットチューンの不在。

前作 Space Oddity ではタイトル曲が、次作 Hunky Dory では Changes がヒットチューンとしてアルバムの中心的な存在になってます。
しかしこのアルバムには、良い曲はたくさんあれどヒット曲がないため、アルバムを買って聴いた人でないと存在として薄くなりがちです。

だからですかね、他のアルバムよりも世の中的な評価がなんとなく低い気がするのは。

ボウイのアルバムを流れで見て行くと、
  Space Oddity
  The Man Who Sold The World
  Hunky Dory
  Ziggy Stardust
  Alladin Sane
  Diamond Dogs

となっていきますが、実は異色のアルバムが1枚あります。
それは Hunky Dory 。

これはSpace Oddity から始まり Diamond Dogs まで続いたボウイの超人指向、SF指向が、一時的に休止になったアルバムです。
Hunky Dory では、素のボウイが基本アコースティックに、シンプルに、音楽してます。
ジャケットは化粧したボウイですが、音楽はほとんど化粧してません。
その分、楽曲の良さが光るものが多いですが。

このHunky Dory を流れから除くと、The Man Who Sold The World → Ziggy Stardust となります。

ボウイが仮想キャラクターを全面に打ち出して、ジャンプアップしていった Ziggy Stardust 。

The Man Who Sold The World は、Ziggy への布石として、そのエッセンスが詰め込まれたアルバム、エネルギーを大きく貯め込んでいたアルバムだったのです。

音の感触も、Ziggy 以降のボウイに似ています。
ミック・ロンソンのギターもZiggyに遜色がないほど、鳴ってます。

たしかに中途半端なデキの曲も何曲かありますが(好みの問題?)、ボウイの持つナイーブさが作曲にも、歌唱にも存分に発揮された傑作だと思ってます。

むしろ、Ziggy 以降、そのナイーブさは薄れ、その分力強く完成されていったため、若干の寂しさも感じたりしますが。

タイトル曲です。


こういうナイーブさを持った曲も、このアルバムの魅力です。


彼はこの6年後に Low を発表し、その3年後に Scary Monsters で彼の創ってきた偶像を全否定します。

そこまでの9年間の全力疾走。
制作したアルバムは、オリジナルだけで11枚。
しかもどれもがその時代、後の時代に与えた影響はとてつもなく大きい。

やはり、すごいミュージシャンだと、改めて思います。