佐藤亜紀・作の傑作、「ミノタウロス」。
文庫化されました。
これはおススメです。
疾走。破壊。カオス。
それらを見事に描き切りました。
すごいです。圧倒的です。
単行本の時、本の雑誌の年間ベスト1にも選ばれました。
福井晴敏氏による推薦文がこうなってます。
「革命。破壊。文学。圧倒的筆力、などというありきたりな賛辞は当たらない。これを現代の日本人が著したという事実が、すでに事件だ」
帝政ロシア崩壊直後のウクライナが舞台。
帝政ロシア崩壊に伴う地元社会の混乱をきっかけに、内線/革命の波動を受け突っ走っていく地主の息子と、オーストリア軍の脱走兵の物語。
標題の「ミノタウロス」は、暴虐と殺戮など、あらゆるダークサイドのイメージをはらむキャラクターとして、この物語と主人公たちを表しているのでしょう。
彼らがまさしく、内戦の動乱の中を、破壊の衝動とともに疾走し、○○していく。
佐藤亜紀の文章が、筆致が、ある種の格調を保っていて、暴力や殺戮が殺伐としない。
なんともいえない読後感をもたらせてくれます。
映画もキライじゃないですが、こういった本に出会うと、圧倒的な筆致で徹底的に描かききられた世界と、それを頭の中にイメージすることの凄さを思い知らされます。
映像でなにがしかを表現することはできても、本そのものから得られたイメージの広がりには到底及ばないであろうから。
