ブログネタ:無人島に本を一冊持っていくなら?
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無人島に持っていく本。
無人島に持っていく本。
しかも1冊。
そこでどのくらいの時間を過ごすことになるのか、わからない。
何度も読み返せて、その度に新たな発見があるであろう、本。
読んだことのない本はリスキー。
たぶんシリーズものは、ルール違反。
せいぜい上下巻まで。
思い当たるものが、ひとつあります。
ウンベルト・エーコ著「薔薇の名前」。
映画になったことがあるので、ご存知の方も多いでしょう。
ウンベルト・エーコは、イタリアの記号論学者でもある哲学者です。
そんな人が小説に挑戦したのが、薔薇の名前。
基本骨格はミステリー。
でもそのまわりに肉付けされてるものがハンパじゃありません。
まさに博覧強記。
1300年代の北イタリアの修道院を舞台にした物語ですが、知の迷宮といった趣です。
修道院で起きた連続殺人事件を解こうとする、主人公のバスカヴィルの修道士ウイリアムと弟子のアドソ。
この設定がもう、作者の思うつぼ。
シャーロックホームズシリーズの代表作、バスカヴィル家の犬。弟子のワトソン。
キャラクター設定からして、パクリ。
すでに仕掛けられてます。
ほんとに、ミステリーとしても良くできてます。
なにしろ、この本、1991年のベストミステリーにも選ばれましたが、1988年~2008年の20年間のベストミステリー海外部門でも1位に選ばれたほど。
でも、それだけじゃ、無人島に持っていく一冊にはなりません。
映画も、ストーリー中心の展開なので、この本の魅力は到底伝わらない。
ひとつのミステリーにこれでもかと肉付けされた、過剰なほどの知。
聖書、異端審問、キリストと笑い、アリストテレス、神学論争。
これらの話題が、めくるめく展開されていく。
別に僕がこれらのテーマの専門家だったり、詳しかったりするわけじゃありません。
まったくのど素人です。
そんなただの読書好きが、こりゃあすげえ、と思えるくらいに面白く読ませてくれます。
少ない脳みそを活性化させてくれる、知の迷宮ですね。
上下巻なんですが、ほんとに時を忘れて本に没入しました。
それでもかなりのボリュームがあるので、読み終わるのに相当時間かかりましたが。
たぶん、もう一度読むと、ストーリーの大きな流れはわかっているので、そのもうひとつの醍醐味であるサブテーマがさらに面白く感じるだろう。
そしてもう一回読みたくなるに違いない。
その時は、より細部と全体をつなぐプロットの妙味がこたえられないに違いない。
そこまで本の細部がわかってくると、ウンベルト・エーコの仕掛けた世界の凄さが実感でき、もう一度その世界に浸りたいと思い、さらに読書回数が増えていく。
そんなことを考えて行くと、この1冊(といっても上下巻ですが)で、かなりの読書欲を充たされるに違いありません。
これこそ、無人島の一冊、ですね。
ちなみに、無人島の1枚(CDのことですが)は、絶対に選べません。
50枚だって、選べませんから。
それさえあれば他はいらない、なんて音楽は、存在しません。
