デビッド・ボウイと言えば、そのキャリアの中で何度も方向転換を図り、出すアルバムごとにまったく方向性が変わることもある、きまぐれなのか、相当の策士なのか、見方がわかれるところでもあるわけですが。

おおよその評価として、ベルリン三部作の2枚目"Heroes"までは傑作である。
しかし、3枚目の"Lodger"は今一歩、レコード会社もプロデューサーも作風も大転換をした"Let's Dance"以降は賛否両論の嵐、昔ながらのファンからは酷評がほとんど、という状態です。

まあ、僕の評価もそんな感じなんですが、評価か難しい、ビミョーな立ち位置にあるのが、"Lodger"と"Let's Dance"の間に出た、RCAからの最後のアルバムとなった"Scary Monsters"です。

$煩悩の日々

おそらくScary Monsters とは、過去から現在まで創り上げられてきた自分のイメージのことを指しているのではないかと想像してますが、その世の中が創り上げた怪物としてのデビッド・ボウイ像をリセットしようとしたのが、このアルバムだったのだろうと思います。

名曲 Ashes To Ashes で、自らの出発点であるSpace Oddity のトム大佐までもただのジャンキーだったと切り捨てたのには驚きましたが・・
このPVは傑作ですね。今までに影響されたアーティストが多いのではないでしょうか。


Ashes To Ashes PV (貼り付けられないのでリンクでどうぞ

音的には、Lodger よりも、先鋭的になってニューウェイブ風の音創りがされてます。
ギターには、ロバート・フリップや、ピート・タウンジェント。
なんで今さら、このふたりなんだという疑問はありますが。

このアルバムの違和感は、レコードでのA面とB面の雰囲気の違い。
もちろん今までも、Low や Heroes でもまったく傾向の違う音楽をやってることはありました。

それでも印象がまったく違う音楽でも、ベクトルの向きが、先鋭的・意図的であるところは共通してたはず。

ところが、このアルバムのA面は先鋭的・意図的であろうとする傾向は見えます。
フリップのアクの強いギターがそういう印象を持たせたのかもしれませんが。
B面は見えません。つかみどころのない、印象の薄いB面。
ドラムの音も、ギターの音も、違います。

ボウイの歌い方も、演奏も、青春ロック。
なぜ、このタイミングで、このB面でこれをやるのかがわからない。
自分が創ってきた虚像を否定してやりたかったのがこれなのか。

A面では音楽的に何かを提示してくれそうなボウイ。
しかし歌詞では、過去の自分を否定したボウイ。
B面では、何を目指すのか混沌としてるボウイ。

よくわからん!と思った僕は、このアルバムでは、タイトル曲のScary Monsters と Ashes To Ashes だけ聴ければいいや、と割り切ってしまいました。

この後ボウイは、ついに全面転換を果たすことになるのでした。
それも想像を超えた、ありえない方向へ。