音楽には、衝撃的な出会いがたまにあります。
決定的な出会い。
その音を聴いただけで、突然心を揺さぶられる。

おおすげぇ、と思う音楽、これは面白いぞ、とうなる音楽。
これは1年に数回はある出会いです。

しかし、これはなんだ、こんな音楽があるのか、とまで思えるのは、数年に1回あるかないか。

Sparklehorse。
(このアルバムはたまたまGood Morning Spider )
$煩悩の日々

一音一音が心に響きます。
とてもひりひりとした存在感のある音です。
音数は決して多くはありません。
少ない音が自らを主張し、危ういバランスを取りながら、曲を創っている。
曲の間中、鳴っているノイズや、メロディとは無関係に入ってくる独特の音も、この音楽には必要なものだと思わされる。

ひとつの音を出すのに、メロディーを組み立てるのに、心を砕きながら音楽を創っているのがよくわかる。

マーク・リンカス。
Sparklehorse は、実質的に彼のソロプロジェクト。
彼にしか創れない、彼の心が、精神バランスの危うさがそのまま音楽になったかのような、ナイーブなロック。
美しさと狂気の狭間で揺れ動いているロック。
ひりひりとした痛みと悲しみと、ぬくもりが感じられるロック。
いまにも消え入りそうな、はかなげなロック。

己を慈しむかのように、丁寧に歌うリンカス。
この人の歌が、歌声が、彼の曲をさらに際立たせる。

大勢に評価され、爆発的なヒットを記録する音楽では決してないけれど、届いた人には強烈に突き刺さるだろう音楽。
ヒット番付けや、年間ベストアルバムなどを見てアルバムを買ってると、間違いなく出会うことのない音楽。

この音楽をかけがえのないものと思ってる人は、たくさんいるに違いない。

しかし。

彼は最近、ピストルで自分の胸を撃って自殺しました。
僕が彼の音楽を知ったのは、その後。
そのことが、そのことへの想いが、彼の音楽に対する印象をより強いものにしているのかもしれません。

それでも、彼の音楽が持つ力を疑うことはないし、たぶんこれからも聴き続けることは間違いない。



こういうわりと元気な曲でも、ナイーブさが引き立つ印象を持ってしまいます。



これは、Sparklehorseを評価してるRadioheadが、いっしょにカバーしたPink Floydの名曲、Wish You Were Here。 なんか、奇跡の出会いですね。


マーク・リンカスは、待たれていた最新アルバムをほぼ完成させていました。

そしてそのアルバムの完成のために、と家族に言い残して友人宅に出かけ、その庭先で自らを銃で撃ったそうです。

アルバムの完成のために必要な、自らの死だったのか。
それならば、そのアルバムを我々は、どう聴けばいいのか。

新作の発売が待ち遠しい半面、その重さにすでに戸惑っている。