別にジャンルで音楽を聴くわけではありませんが、音楽との出合いは同じ系列の深掘りから得られることが多いですね。

特にマニア系が多い音楽ほど、その系列のマイナーな存在に光が当たることが多い。

そのミュージシャンが過去出したレアなアルバムに異常な値段がついたりします。

そんなもん誰が欲しがるんだ、客観的にみたら音楽としてのデキはたいしたもんじゃないだろう、というアルバムでさえそんな状況になる。

専門雑誌で、これは隠れた大名盤、この時代にここまでの音楽ができていた!などと書かれるとね、やっぱり気になるのがマニアというもの。
結果、大枚はたいて買ったり、中古盤屋を必死になって探して見つけたアルバムが、な~んだこりゃ。

プログレ、というジャンルはその最たるものだと思います。

超メジャーなピンクフロイドとかキングクリムゾンを頂点にしたヒエラルキーのようなものの底辺に、超マイナーなグループがたくさんあり、それらをどれだけ知ってるか、どれだけ貴重盤を持ってるかを競うような感覚がマニアにはある(あった、かな)んですよね。

そんなプログレ好きが、ここには近づきたくない、というグループがいます。

プログレの鬼っ子のように嫌う人が多いグループ。

ヘンリー・カウ。

そもそもなんでこいつらがプログレなんだ、という気もしますが、クリムゾンの持つフリージャズ的側面に似た部分があることや、キャラバンやハットフィールドといったカンタベリー系とのつながりがあったことなどが関係しているのかもしれませんね。

現代音楽的、インプロヴィゼイションを多用した前衛的な音楽。

フレッド・フリス、クリス・カトラー、ダグマー・クラウゼ、ティム・ホッジキンスン、リンゼイ・クーパーの5人が中心メンバー。

スタジオアルバムを5枚、ライブアルバムを1枚出して解散しましたが、その演奏にはヒリヒリとした緊張感が漂い、クリムゾン後期の破壊的な力強さとはまた違う前衛的な魅力があります。

プログレは、その側面に叙情的なメロディと演奏、大げさなオーケストレーションといった、ある種のわかりやすさがあるので、その極北にいるヘンリー・カウが嫌われるのもわかる。

音的には、ダグマー・クラウゼのボーカルが目立ちやすいけど、実はクリス・カトラーのドラムの音が大好きで。ホワイトノイズの塊のようなシンバルと、硬いスネア。
とっても快感です。

これは傑作ライブアルバム"Concerts"から、ダグマーの美声(?)をお聴きください。


こちらは解散後に、出されたアルバム"Western Culture"。
ヘンリ・カウのアルバムでもっとも緊張感にあふれたダイナミズムがあります。
このアルバムにはダグマー・クラウゼは参加してません。


この後、フレッド・フリス、クリス・カトラー、ダグマー・クラウゼの3人は、アート・ベアーズというグループを結成し、これまた素晴らしいアルバムを出すことになります。