いくつもの2007年国内ベストミステリ10位以内にランクイン、第5回本屋大賞2位、大藪春彦賞受賞。
読んでみたいな~と思っていて、延び延びになってた本が、文庫になったので早速購入。
小説の舞台は、自転車のロードレース。
昔、ロードレースが大好きでよく見てました。代表的なのはツール・ド・フランス。
あのフランスを20日間自転車で駆け巡って、総合優勝を競う世界最高峰の自転車ロードレースです。
日本では考えられないくらい、ヨーロッパではロードレースが盛ん。
ロードレーサーの地位も、スポーツ選手の中でも、けっこう高いです。
日本でも街中で見かける姿が、年々増えてきたように感じます。
僕も、ど素人にも関わらず、オーダーメイドのロードレーサー買って、よくあちこち乗り回してました。
ロードレーサーはほんとに、爽快。
とってもいい有酸素運動にもなるしね。
で、このサクリファイスですが、チームスポーツであるロードレースを舞台に繰り広げられるドラマを描いてるミステリー。
ロードレースのチームは、一人だけいるエースをいかに勝たせるかで他のメンバーは自己犠牲を払って走る。
勝つことを義務付けられるエース。
使い捨てられることでエースをサポートする、アシスト。
それでタイトルのサクリファイス、が出てくるわけですが。
実は、単行本の時に購入をためらった理由があります。
なまじ、そのロードレースの世界を知ってるだけに、付け焼刃的な小説を書かれると、ミステリとしては優れてても、題材の描き方に白けてしまって楽しめないのではないか、という危惧がありました。
それは杞憂でした。
作者は、綿密な取材と下調べをしたのでしょう、相当しっかりとロードレースの仕組みを理解してくれてる。
チームの中でのエースとアシストの関係や、心理的肉体的なストレスなども現実に沿って書かれてる。
そしてそれが、ロードレースのズブの素人でも自然にその世界に入っていかれるように、描写されてる。
となると、あとはミステリとしてのデキです。
序盤の展開からね、たぶんこの人がこういうことをして、こういう悲劇が生まれるんだろう、などと想像する流れになってるわけですよ。
ミステリのひっかけの定石ですね。
その後、やはりそうではなく実際はまったく違う事実が潜んでいた、それによって事態は急展開、さて真実はどこに?となって、名探偵が謎解きをするのが、定石です。
これをもう一回、ちゃぶ台返しできるのが、優れたミステリだと思っています。
それも、プロットの妙、読み終わった後の納得感とともに。
ジェフリー・ディーバーなどは、それがとてもウマい。
このサクリファイスが評価されたのは、ここがウマかったからでしょうね。
冒頭からワナが仕掛けられてる。
読者をミスリードさせるストーリーテリング。
そして最初のドンデン。
そして本当の真実。
面白かったです。
唯一、本当の真実がなぜ起きることになったのか、そこが少し説得力がないかな。
