ミレニアム3部作の3部目を読了しました。
このまま懸案を残して終わってしまうのかと思っていた下巻終了直前に、ちゃんと出てきました。
人間破壊マシーン。
ネタばれになるので詳しく書きませんが、こいつが2部、3部を通してひとつのアクセントになってました。
ミレニアム。
最初に、日本で第1部が出版されたとき、もっと荘厳なゴシックミステリーなのかという印象を持ちました。
まあ、本のタイトルと帯の宣伝文句を中心とした、僕の思い込みなんですが。
実際全巻を読んでみると、エンタテイメント精神にとんだ、現代的なミステリでした。
第1部は、ミレニアムという物語の舞台となる雑誌社と、登場人物の造型を見せるために用意された物語です。
富豪一族の歴史にうごめく愛憎がもたらした失踪事件、殺人事件を主人公のミカエルとリスベットが解きほぐしていくミステリ。
第2部は、第1部で印象的な役回りをした個性的なリスベットが引きずる過去と、その過去に起因する謀略事件がサスペンス調に展開していくミステリ。
第3部は、一応の終息をみせる過去の謀略事件が現代に余波を巻き起こし、権力に裏打ちされた巨悪に狙われるリスベットを、ミカエルを中心とした勇士が助ける物語。
すべてがつながっています。
第2部のレビューでも書きましたが、第1部を書いてヒットしたので、続編を創りました、というものではありません。
第3部まで(作者が急逝しなければもっとあったかも)のすべての展開を綿密にプロットしてから、第1部を書き始めたのでしょうね。
そのため、つながりに違和感がなく、第1部に2部の伏線があり、2部に3部の伏線がある、という状況がつくれています。
これだけでも、優れたミステリといえます。
で、第3部ですが、ミレニアム・シリーズの核となる第2部で、過去に起因する謀略事件に巻き込まれたリスベットと、謀略事件の中心人物だったザラチェンコを巡る物語のその後が描かれています。
その後といっても、オマケの物語ではありません。
骨太のサスペンス。今回はミステリ色は弱いですね。
スウェーデンという国家の中心である公安警察に巣くう巨悪。
これと第2部の謀略事件の関わり。
ふたたび窮地に追い込まれるリスベット。
リスベットを救うべく立ち上がるミカエルと仲間たち。
コンピュータのハッキングが手がかりとなり、見出されていく突破口。
物語は第2部の流れを持ちながら始まるも、いきなり訪れるショッキングな事件。
とても面白く読めました。
でも、一番面白いのは第2部ですかね。
第3部はミステリ色が弱いということもありますが、巨悪であるはずの敵が、けっこう間抜けで脆い。
ミカエルたちは、反撃を始めてからほとんど窮地に陥ることなく、予定調和的に敵を倒してしまった印象。
ミレニアムが弱いとすれば、ここですかね。
エンタテイメントに徹するあまり、偶然や予定調和的な流れが目につきます。
かなり映画的というか、シナリオも意識して書いてるのかもしれませんね。
とはいえ、やはり大いに楽しめたことは間違いありません。
これなら時間をじっくり使って読む価値があります^ ^
