環境音楽という言葉がいつからあったかわかりませんが、今では元祖・環境音楽と言えば、ブライアン・イーノでしょう。

イーノは、ブログでも何度も取り上げるほど好きなんですが、初期のアルバムでは屈折したロックを、その後最高傑作(自分調べ)である Another Green World や Before And After Science では、非常にソフィスティケイトされたロックを演ってきました。

この時期のイーノに影響を受けたミュージシャンは数限りないでしょうね。

Another Green World と Before And After Science の間に制作された Discreet Music でも環境音楽的な萌芽は見られますが、正式に環境音楽(Ambient Music)と命名されたのは、1978年に発表された Music For Airports です。
タイトルとしても、Ambient Music 1 と記されてます。

$煩悩の日々

環境音楽についてイーノは、周りに存在するノイズと同レベルの音量で流し、その中から時々顔を出すレベルが正しい、とインタビューで答えていました。
つまり、環境音楽は、日々の生活ノイズの一部と化すべきで、たまたまそれは意図されて流されているものに過ぎない、ということ。

しばらくは、この教えに沿って、Music For Airports を日常のノイズの中で小さな音で聴いてました。
それはそれで、なるほど~と思いながら。

ところがある日、ものすごく静かな場所で、これを聴いたのですよ。
それこそ、聴こえるのは暖炉で薪がはぜる音と、遠くで鳥が鳴いてる声だけ、みたいな環境で。

時間の流れが、変わりました。

1曲目の1/1(曲名です)、ピアノの音が鳴ると、その余韻が空間を満たしている間、時間が止まります。

時間が止まっている間に聴こえてくるのは、ピアノの余韻とバックの薄いシンセ、そしてその環境そのものの音。

自分が、時間と空間の中に溶け出していってるような、とても不思議な感覚。

カラダが完全に弛緩し、緊張もほどけ、思考も停止してます。
すると音楽を聴いている感覚も薄れていき、いつの間にか曲が終了しています。

自然環境そのものにいるような、とてもゆったりくつろいで癒される時間。

観賞してるわけでもない、聴き流してきるわけでもない。
それこそ、音楽のある環境に、いる。
同化する。

うーむ、これも別の意味で、環境音楽ということなのか、と勝手に解釈。
生活ノイズにまぎれて聴くだけが能じゃないぞ。

そんな時間を過ごすことができる素晴らしいアルバムです。