2009年の週刊文春ベストミステリ「ミレニアム」の第1部ドラゴンタトゥーの女(上・下)を読了。
ちなみに、「このミステリーがすごい」では、「犬の力」に次いで2位。
「犬の力」は、ドン・ウインズロウ作のメキシカンマフィア抗争を描いたノワールですが、これが最高に面白かったことは、昨年お伝えしました。
やはり、年間ベストを取るべくして取った、という感じですね。
さて、ミレニアムです。
作家は、スティーグ・ラーソン。
スウェーデンの作家で、舞台もスウェーデンです。
このミレニアムシリーズを完結する前に急逝しました。
最初、このスウェーデンが舞台ということで戸惑いました。
行ったことがない国が舞台の小説、というのはよくある話なので問題ありません。
むしろ、風景や場所の描写から、北欧の雰囲気が感じられて好ましいところ。
人物の名前がね、覚えにくいんですよ、最初は。
なかなか縁が少ない語感が多かったりで。
主人公の名前は、ブルムクヴィスト。
主人公を陥れるのが、ヴェネルストレム。
ほら、なんとなく混乱しそうでしょう。
第1部は、本格的ミステリー、第2部はノワール、第3部は謀略小説だそうです。
その第1部がこのドラゴンタトゥーの女、です。
スウェーデンのコングロマリット一族で将来を嘱望された女性が、完全密室状態の島から失踪。
殺人事件として徹底捜査されるも、発見されずに20年の月日が流れる。
いまだにあきらめられない企業のオーナーは、主人公に洗い直しを依頼。
調査を進めるにつれ、過去の連続殺人事件が姿を現し始める。
そこと失踪事件の関連は何か。
誰が何の目的で犯行を犯したのか。
とまあ、こんな流れのミステリーですが、感想としては1位になるほどのものではないだろう、というもの。
まずこれはミステリーとして作られた小説ではないですね。
いかにもミステリー仕掛けですが、ミステリーなら押さえるべきツボがゆるい。
ネタバレになるので細かくは書きませんが、20年前の失踪事件の正体はなんとなく想像ついてくる範囲のものだし、犯人も動機も納得いくものではない。
犯人が見えてくる過程もなにか淡々として、盛り上がりに欠ける。
そして、もうひとりの主人公というべき、謎の女、リスベット・サランデル。
ぶっ飛んだ設定のキャラクターの彼女。
ぶっ飛び方が、中途半端な印象があります。
彼女のキャラクターと他の登場人物のキャラクターが全体的に浅い印象ですね。
全体の骨格に対し、肉付けが不十分ですかね。
面白い本には違いないのですが。
最終的な判断は、第3部まで読まないと下すべきではないのかもしれませんが、少なくともミステリの上作と言われるには、ちょっと力不足の感が否めません。
これは、犬の力の圧勝ですね。
さて、第2部を読み始めよう。