ハワイにカウアイ島という島があります。
ワイキキのあるオアフ島の西、ハワイ諸島の最西端に位置する小さい島。
縁あって、この島に3度滞在したことがあります。
ハワイのイメージは、常夏の楽園、太陽にあふれたビーチ、というイメージだと思いますが、この島は別の側面を持っています。
小さな島にもかかわらず、南と北とでは見せる表情が違っていて、
南はハワイのイメージそのままの乾いた気候。
北は降雨の多いウェットな気候。
その北部地区、プリンスヴィル。
この北部地区は、本当に雨量が多い。
なぜなら、世界で最も濡れているスポットと言われる、世界最高レベルの降雨量を誇るワイアレア山(年間平均降雨量は日本の10倍!)の麓に位置しているから。
これがワイアレア山のあるワイメア渓谷。
長年の浸食によりできた自然の造形!
もちろんプリンスヴィルは、この荒々しい山岳に位置するのではなく、海沿いの高台にあるのですが、ここに発生する雨雲の守備範囲なので、すぐにスコールがあります。
ところが、もともと乾いたハワイの気候。
急なスコールがあっても、いつまでもジトジトしているわけでも、下がぐしょぐしょのままでもありません。
気持ちの良い通り雨となります。
なので、草木は常に瑞々しく潤い、空気には水や花の香りが漂います。
そばには太平洋の美しい海。
気持ちの良いホテルのプール。
まさに、水にあふれた、この世の楽園。
ここにきて、その音楽が持つ魅力が開花したアルバムがあります。
Yes "Tales From Topographic Oceans"
昔から、特に「こわれもの」が好きなイエスファンには酷評のこのアルバム。
おそらく、1面1曲の組曲構成のため、いつもよりも緊張感が少なめで音の隙間が多い。
これが不評の最大要因と思われます。
ただ、この音の隙間やゆったりとした展開、これがこのアルバムの魅力でもあります。
単独で聴くのではなく、風景や自然環境とともに聴くと、キラキラ輝きます。
これが、ここカウアイ島のプリンスヴィルで最高の輝きを見せました。
なんといってもここは、太平洋の真ん中に古代マントルの動きが生み出した、水の楽園。
そしてアルバムは、海洋地形学の物語。
まさにテーマそのものの地で、アルバムを聴いているようなもの。
黒い雲が急速に広がり、豪雨といってもいいスコールに見舞われ、数分ののちに太陽が雲間から顔をのぞかせる。
太陽の光に照らされ輝く草木のしずく。
遠くには完ぺきな美しさのダブルレインボウ。
その眼下には、太陽の光をうけて青く輝く透明な太平洋。
このアルバムの曲とイマジネーションが最高にマッチングする瞬間です。
ここに滞在する間、このアルバムを聴きまくりました。
今でもこのアルバムを聴くたびに、カウアイ島の風景と、草木の香り、スコールの音、雨上がりの鳥のさえずりが、自分の頭の中に像を結ぶようです。
きっとα波が出まくっているに違いありません。


