自分の音楽観に衝撃を与える出会いは数多くありますが、これもそのひとつ。


Public Image LTD(以下PIL)。

当時、パンク→ニューウェエイブ→オルタナティブと、膨大なエネルギーで疾走を続けたイギリスの音楽シーンで、少なくともそのベクトルの中心にいたジョン・ライドンが作ったグループです。


煩悩の日々

やはりインパクトが強かったのはこれ。セカンドアルバム、Metal Box。

缶入りのレコード3枚組。しかも普通の33回転ではなく、45回転で聴くEPの3枚組。

オーディオ狂いのジョン・ライドンがこだわってこの仕様にしたんでしょうね。

音も、タイトルも、パッケージもMetal Boxにふさわしく、すべてが一体となり、ミュージックシーンのど真ん中に、重くて固い金属の固まりをぶち込まれた印象です。


当時のムーブメントのひとつ、ダブ。

ダブにインスパイアされた重い地鳴りのようなベースラインを全編に渡って響かせる、ジャー・ウォブル。

空気を切り裂く鋭い刃のような、キース・レヴィンのギター。

その強烈な音に、ドラムとライドンのボーカルと若干のキーボードが乗るだけのシンプルな音楽。

しかし、一音一音の強い存在感と、ひっかかりながらうねるようなリズム。

聞き流すことはできません。音量を下げても、自分の脳みそに楔を打ち込まれるかのようです。

大音量で聴くとこれはたまりません。思考がマヒします。

これを聴きまくっていたあのころ、ガマンしてくれた両親にお詫び申し上げます。


金属缶ケースに入っていた45回転EPの3枚組。

今では缶の表は指紋ベタベタでサビが出ていますが、中のレコードはそのまま。

この低音のボリューム感は、昔のCDでは再生できてませんね。

これこそ、最新のリマスタリング技術でリマスターを出してほしいものです。


PILはこの後、サードアルバムである、Flowers Of Romanceを出しました。


煩悩の日々

脱退したベースのジャー・ウォブルに替わるベーシストの補充はせず、ベース抜きのラインアップにしてしまったライドン。前作であそこまでトーンの中心を務めさせてたのに、それでいいのか??という思いも持ったものです。


しかし。


ある意味、前作Metal Box以上に刺激的な音楽を創り出してしまった。

呪術的なリズムと歌唱。ロックという範疇すら越えてしまい、あの時代で最も先鋭的な音楽だったこのアルバム。

前作以上に聴き狂いました。

はまり込んだと言っても過言ではありません。


こんな音楽を、学校の往復の間中ウォークマンで聴いていた僕の音楽感は、確実に変質していったのでした。