息子さんに会うたびに
「おやっさん元気? いっぺんご機嫌伺いに行くわ!」
もう10年も合っていないのではないだろうか?
いっぺん伺うわと云って三回目がやってくる?
何が何でも行かにゃアカン!
「今日は、おやっさん在宅かな~」とtelで確認・・・訪問!
すっかり路地の様子が変わり何べんも迷い迷い到着
なんと・・・
門が開いて・・・玄関まで開いている。
「こんにちわ・・・」
『よう・・・』
小ざっぱりと着替えた感じのおやっさんが恵比寿顔で迎えてくれる。
「ちょっと奥さんに挨拶しますわ」
『そうか・・・』
少しばかり弾むように仏間に案内してくれる。
応接にはすでに息子さんのお嫁さんが、お茶とお菓子を入れて待って居てくれる。
積もる話の数々・・・
おやっさんの話口調は相変わらず・・・
米朝を思わすイントネーションと言葉のチョイス・・・
病気の話もゴルフの話も・・・全部落語に聞こえる。
二時間も立つ頃ふと時計を盗み見すると
『それからな~・・・』
と話が続く・・・
『あのころは、一番楽しかったな~』
しみじみと語るその顔には深い皺が刻まれ
堂々とした姿勢は・・・上半身がチジみちょい猫背
年齢は誰の上にも容赦は無いのだ。
下戸の私は・・・
ゴルフ、食事、カラオケには常に専属運転手の様であったが?
奥さんは、『あなたと一緒なら絶対安心ね』と絶大の信頼をくれた。
おやさんには・・・散々???散財をさせたように思うが???
いまも・・・温かく迎えてくれる。
不思議な他人なのだ!
では・・・また伺います。
と辞したが・・・
容赦のない老いは、おやっさんにも私にもやってくる。
今度は・・・いつ会えるのだろうか?