初めていらした方に自己紹介をするとき、学会の肩書きや経歴よりも先にお伝えしていることがあります。それは、患者さんが希望される施術を、そのまま行わないことがかなりあるという点です。今日はその理由をお話ししたいと思います。

 

 

 

「これを受けに来ました」という言葉

 

 

日本からいらっしゃる方の多くは、受ける施術をすでに決めて来られます。SNSで見た施術、友人が受けて良かったという施術、「今、韓国でいちばん人気」という施術です。飛行機の時間から宿泊先まですべて合わせていらしたのですから、そのお気持ちは十分に理解しています。

 

ところが私の診療室では、その施術をそのまま行うケースは半分にも満たないのです。理由は一つです。その施術が流行っている理由と、患者さんの肌が今必要としているものが異なることが多いからです。流行は「多くの人に無難に合うもの」から生まれ、診療は「この一人に合うもの」から始まります。二つの基準はときに重なりますが、いつも同じとは限りません。

 

 

 

なぜ「控えめに」と言うのか

 

 

カウンセリングで私がいちばんよく口にする言葉は、「今回はここまでにしておきましょう」です。施術を多くおすすめするほうが、クリニックにとって有利なのは当然です。しかし肌は、一度に多くの刺激を受けると、そのぶん回復に時間がかかります。そして、何が効果をもたらし、何が問題を起こしたのかを見分けられなくなります。

 

特に海外からいらっしゃる方は、帰国の日程が決まっています。施術後の経過を私が直接診られない期間が長いのです。だから私は「一度にたくさん」よりも「確かなものを一つ、きちんと」を選びます。控えめにするほうが結果的に安全で、次にいらしたときに何を加えるべきかもはっきりします。

 

 

 

なぜ「合わせる」と言うのか

 

 

同じ施術でも、肌の厚み、皮脂量、色素の深さ、骨格によって、強さや部位を変えなければなりません。日本の方の肌は韓国の方と似ているように見えますが、カウンセリングで詳しく見ると違いがあります。同じアジア人だからと同じ設定を使えば、ある方には弱すぎ、ある方には強すぎることになります。

 

ですから私は、施術名よりも先に「何を変えたいのか」をお聞きします。毛穴なのか、赤みなのか、たるみなのか、色素なのかによって、同じ名前の施術でもまったく異なる方法で行います。ときには、ご希望の施術の代わりに、よりシンプルで手頃な施術が合っている場合もあります。そのようなときは、正直にそうお伝えします。

 

 

 

  カウンセリングで必ずお伝えする三つのこと

 

 

一つ目は、この施術で変わることと変わらないこと。

 

二つ目は、ダウンタイムが帰国の日程内に終わるかどうか。

 

三つ目は、今は受けないほうがよい理由があるなら、その理由。

 

この三つをお聞きになったうえで、それでも「受けたい」とおっしゃるなら、そのときは患者さんの選択を尊重します。ただ、聞かないまま決めてしまうことがないようにするのが、私の役割です。

 

 

 

まとめ

 

「控えめに、そしてより合わせる」とは、施術を少なくするという意味ではなく、必要なことを必要な分だけ行うという意味です。流行りの施術をそのままおすすめしないのは、その施術が悪いからではなく、患者さんの肌に合っているかを先に確かめたいからです。

 

韓国まで来て受けられる施術ですから、日本に戻られてからも納得できる結果でなければならないと考えています。その納得をつくることが、私の診療の基準です。