浜風句会二〇二二年三月会報

 

 今月は五人参加の句会でした。特選を五つ集めた金子うさぎさんが十五点でトップです。友作さんも十点と健闘。

 披講の後は「ゲルニカ」と「戦艦ポチョムキン」から話が始まり、好きな句、気になる句、表現が素敵な句、意味が取りづらかった句などなど、さまざま語り合いました。やはり句会は顔が見えて声が聞こえる方がいいね、早く皆さんと句会ができる日が来るといいね、と言い合いました。

 

一  侵す国あらがう国や鳥雲に      翔人

二  床に臥し千の家事のない男時間    えつ子

三  三月のどこかこちらへちんどん屋   三德 

四  アクリルが絆さえぎる寒戻り     友作  

五  なんとなく日脚に歩調合わせ春    啓子 

六  バイクをも梅の香りに白く染む    雪雫 

七  戦なきとよあしはらや菫草      青三  

八  探梅や妣と座りし椅子探す      トミ子 

九  どの紙もひそとさざめく大試験    雄策 

十  大仏のくちびるなぞる日永かな    せとか

十一 「ゲルニカ」を眺める為の椅子ふたつ うさぎ 

十二 もう待てぬ反戦ビラを春一番     さくら 

十三 払っても払ってもきな臭いコート   洋子

十四 消費税0パーセント四月馬鹿     博 

十五 君の椅子そっと座った卒業の日    ポチ 

十六 梅に鼻くっつけ心身更新       優 

十七 菫組タンゴ舞踊の卒業式       ゑん

十八 春愁や椅子の背もたれ頼りおり    順子

十九 いつか来し堤に一人菫草       寛 

二十 春休みの公園老人は椅子       宗翆

二一 友だちか恋人なのか目刺し焼く    惠

二二 この日だけマスク外せよ三・一一   翔人 

二三 菜の花や術後の白い二十時間     えつ子 

二四 ちやほやのやがてお蔵やお雛様    三德 

二五 今日限り椅子も泣いてる卒業式    友作

二六 口堅いベンチ二人で蓬餅       啓子 

二七 そよ風に高尾の山の気が流る     雪雫 

二八 陽炎やきつと戦艦ポチョムキン    青三  

二九 風船が誘う新築即売会        トミ子 

三十 爪切りの刃との相性日脚伸ぶ     雄策

三一 三月や忘れえぬ事忘れまじ      せとか 

三二 青麦に紛れ倅の戻りけり       うさぎ

三三 青空よ寂しくないか桜満開      さくら

三四 うつらつら春愁を置くオットマン   洋子 

三五 菫摘む幼児(おさなご)()も輝きて       博  

三六 本日は雛壇でネコ身づくろい     ポチ

三七 それであなた方はと瀕死の菫     優 

三八 燕飛ぶ回転するのはブーメラン    ゑん 

三九 菫咲くあたり安全地域とす      順子

四十 川浚え帽子に摘める蕗の薹      寛  

四一 春来る窓辺の犬の大あくび      宗翆 

四二 猫足の椅子春眠のヒストリー     惠 

四三 万作や選句に迷うお前もか      翔人

四四 たんぽぽや重湯の甘さしみじみと   えつ子

四五 送料は無料です春一番        友作  

四六 また今年置かれたとこに咲くすみれ  啓子

四七 霊山の日本遺産に春一番       雪雫  

四八 梅饅頭死守するごとく堅き実が    青三  

四九 子と蒔きし花種もはや十一年     トミ子 

五十 花ほころぶ街に素顔の人を見ず    雄策  

五一 蓬摘む摘むたび君を想いけり     せとか

五二 放射能あの日のままのランドセル   うさぎ 

五三 海を詩に椅子にもたれる花ミモザ   さくら 

五四 レトルトに卵の踊るミモザサラダ   洋子

五五 せめてもの菫で造る金メダル     博 

五六 ぶらぶらと頼朝桜保田の里      ポチ

五七 桜の群れに甦る目差しが       優

五八 春場所にでんぐり返すパンケーキ   ゑん 

五九 足湯してほぐるる心山笑う      順子 

六十 バックミラー直し湘南うららけし   寛 

六一 菓子屋の子里山遊びで蓬摘む     宗翆

六二 ゴロゴロと燕来る日の喉仏      惠  

六三 待ちかねてスマホ群がる早桜     翔人 

六四 あやかしの春の今宵は人間椅子を読み返す えつ子

六五 春一番ロシアの鬼はどうするの    友作

六六 やっと来た春だけど人は泣く泣く   啓子 

六七 菫咲く草原背負い嗚紺碧       雪雫

六八 つるし雛おなごの願ひ数多かな    青三

六九 誠実といふ教壇に咲く白すみれ    トミ子

七十 コトリとも受験の椅子は声挙げず   雄策

七一 椅子に余る手足伸ばして卒業す    せとか

七二 ゆきずりの猫と花見てあと一句    うさぎ 

七三 好奇心の針びゅんと桜鯛       さくら

七四 耳二つマスクするのは定めかも    洋子

七五 揺り椅子に春を感じて身を任す    博  

七六 春いずこコロナコロナにウクライナ  ポチ  

七七 モノレール眺めベンチに春うらら   優  

七八 隣国の白酒交わす歌声喫茶      ゑん

七九 春昼やそっと注ぎ足す薬草茶     順子 

八十 彼もまた達者と聞けり青き踏む    寛

八一 桜鯛明石を慕う友在りし       宗翆

八二 春眠し点検中のエレベーター     惠