浜風新年句会は参加者五人でスタートしました。人数的には寂しいのですが、みなさんの声が聞き取りやすく、話も伝わりやすいという点では、良かったのかなと思います。ともあれ句会は楽しいので、早くみなさんと顔を突き合わせての句会ができる日が来るといいなと思っています。

 

 今月は特に高得点という句は無く、最高点でも11点(惠さんの「幾晩も空と語りし凍み豆腐 」)でした。次に9点句が2句(洋子さんの「コロナ禍の証人となる寝正月」と友作の「マスクから内緒の話感染す」)で、8点句が1句(順子さんの「葱雑炊吹いて話の腰を折る」)でした。

 

一  答えなき夜をつないで年明ける    友作   

二  去年今年母のオメガをそっと巻く   啓子   

三  金箔へふっと息かけ女正月      さくら  

四  白葱や鍋治めたり斜め切り       青三  

五  雪女次の頁は溶けてをり       トミ子 

六  白髪葱水に放たれ遊びおり      洋子   

七  脚線美見てよとばかり葱太し     翔人   

八  待て待てと軍配のごと除夜の鐘    うさぎ

九  のっけからドスンと受け身初稽古   雄策   

十  炬燵だし久に睦ぶや古時計      寛   

十一 南極の氷原にある冬菫        ゑん

十二 外は雪君はまだ来ず時計見る     博   

十三 薄皮をむけば真白や葱の姫      えつ子 

十四 沈黙の時間を増やす雪月夜      惠   

十五 今年来る何だかんだの果てに来る   順子   

十六 ひびとひび繋ぎ幸い鏡餅       則江  

十七 鍋の具の八方美人長葱や       宗翆  

十八 たかが葱されど葱なり意思強固    友作  

十九 初富士や中村哲のひげ笑う      啓子  

二十 寒月光ソーラー時計の胸騒ぎ     さくら 

二一 寒椿白き花芽をひた隠し       青三

二二 断捨離の向こうに待つは春の夢    トミ子 

二三 いつの間に人生の午後石蕗の花    洋子  

二四 刹那とは0・1秒という句をメモす  翔人   

二五 つゝましや論語唱えて深谷葱     うさぎ 

二六 海の色かすれかすれて枯芭蕉     雄策

二七 大振りののママの袢纏町出初め    寛   

二八 寒稽古七色振りつつ太うどん     ゑん   

二九 忙しくワイパー動き年の暮れ     博   

三十 年寄りの路地と変わりて雪凍る    えつ子 

三一 毛糸編むボンボン時計を伴侶とし   惠   

三二 愛おしきアナログ時計冬ごもり    順子  

三三 手術着の水色薄き初氷        則江  

三四 チクタクの音は何処に雪の朝     宗翆

三五 青きネギ離れ離れに売られ行く    友作   

 

三六 自転車のカゴ突き出てる葱の青    啓子

三七 葱を剥くまだ捨てられぬ性善説    さくら

三八 落ちている手袋なぜか片手かな    青三

三九 鳩時計鳴くを忘れて寝正月      トミ子 

四十 初ちょんぼ人のカートを押している  洋子

四一 寒夕焼突如乱雲天劫火        翔人

四二 宇宙から国境見えず浮寝鳥      うさぎ 

四三 内海へオール漕ぎゆく姫はじめ    雄策   

四四 数珠なりに寄り添い静か寒雀     寛  

四五 漱石も見上げた寒月ハーモニカ    ゑん 

四六 こうやくを剥がし変えては秋の選   博

四七 初詣バイト巫女らの神籤売り     えつ子 

四八 今だからプラス思考の冬木の芽    惠 

四九 葱雑炊吹いて話の腰を折る      順子  

五十 薄氷を避けて源平古戦場       則江 

五一 不変らし犬の喜ぶ雪こんこん     宗翆 

五二 マスクから内緒の話感染す      友作 

五三 初日の出善人のみの路線バス     啓子 

五四 クイーンの塔寒月光へ気を許す    さくら 

五五 小気味よくざくざくざくと霜柱    青三 

五六 雪搔きの子等におはよう歩道橋    トミ子 

五七 コロナ禍の証人となる寝正月     洋子 

五八 身の黒きつゆほど知らぬ猫に雪    翔人 

五九 ベランダのすずなすずしろ七日粥   うさぎ 

六十 初雀チュンチュンあたたかい憲法   雄策  

六一 触れたいと想ふ人あり葱洗ふ     寛  

六二 長崎へ歌留多届いて新幹線      ゑん

六三 古里の炬燵の中の夢は今       博 

六四 一瞬の日差しに緩む冬木立      えつ子 

六五 幾晩も空と語りし凍み豆腐      惠  

六六 園小春笑顔の似合う人と居る     順子 

六七 待ち人の不在そのまま年新た     則江  

六八 神棚の孫に貰いしお年玉       宗翆