いつもなら必ず咲く赤い曼珠沙華が今年はまだ姿を見せません。

どんなに暑い夏でも、これまで時を違えず咲いていたのに

今年は余程、過酷な夏だった証なのでしょうか。

 

それでも今朝は随分涼しくて、いよいよ秋が来たと、

曼珠沙華の花芽も起きてくれるのではと信じて待ちましょう。

 

うちの庭には白花も数株、植えてあって毎年少しずつ増えているようです。

この株は年の離れた職場の先輩にもらったもので、こちらは蕾がつんつんと顔を出してきました。

この花が咲くと彼女のことを思い出します。

 

その人はとても姿勢のよい人でした。
しゃんと背筋を伸ばし随分先を見て歩く人でした。
ともに仕事をしたのは6年ほどでしたけれどいつも全速力。
精一杯の力を出し切って事に当たる人でありました。
手を抜いたり誤魔化すようなことは彼女に限って絶対になく
辛い仕事でも決して泣き言を言わず
如何にすれば迅速に正確に終えることができるかを
常に考えておられました。
一番の年長にも関わらず何事も率先して行い、
気力体力とも満ち溢れて、溌剌としたオーラを発散して止まない人で
わたしなど到底足元にも及びませんでした。

自分にとても厳しかった彼女はわたし達後輩にもやはり厳しくて
すこし煙たいと思うこともありましたけれど
彼女の在り様を目にしたら文句など言える筈もありません。
誰より仕事をたくさんするのは彼女でしたから・・

実母の介護を理由に定年を前に退職され
一年後、そのおかあさまを見送ったあとは
家事に趣味にと精力的に飛び跳ねていらっしゃるとの風の便りに、

わたしたちもなるほど「iさんらしい」と噂をしていたのでした。

そんな折、突然彼女の訃報が届きました。
胃がんだったそうです。
あまりにもあっけない幕切れが信じられませんでした。
ほんとうに?逝ってしまったのですか?
そう彼女の面影に問いかけても静かな微笑が浮かぶばかり・・

全速力で人生を駆け抜けて風のように逝ってしまったのです。

誰にも病のことは知らせるなとおっしゃっていたそうで
彼女の最期は知らないままですが、
きっと潔いものであっただろうなと想像するに難くはありません。

「大掃除はねえ、毎年9月から始めるのよ」
「家の隅々まで綺麗にしようと思ったらそのくらいからはじめないと間に合わないでしょ」

彼女の声が今も耳に聞こえます。
がんばらないと笑われますね・・
わたし生きてるんだから・・

 

 

白花曼珠沙華は過去の画像です。今年のお花、明日には開くかな?