先週の事、最初は公開されなかった静岡で、アカデミー賞受賞後に公開されるのを知ったので、初めての映画館でしたが行ってきました。

静岡シネ・ギャラリー

演奏会や講演も出来るホールで、１階、３階で少人数で映画を観られます。

チケットを買う時に整理番号札をくれて、開園５分前に整理番号順に入場します（場内自由席）

場内が昔っぽい作りで、ちょっと懐かしい感じでした。

落下の解剖学

ちょっとネタバレます。

人里離れた雪山の山荘に住む小説家のサンドラ（サンドラ・ヒュラー）が、学生の取材を和やかに受けていると、二階から大音量の音楽が流れてきて、サンドラは夫のサミュエル（サミュエル・タイス）がかけたと言う。

一旦音は止まったが、更に大きな音で流れてきて、サンドラはいつもの事と言うが、学生は戸惑い、取材は中止して別の日になった。

サンドラの息子で、視覚しょうがいのあるダニエル（マイロ・マチャド・グラナー）は飼い犬スヌープの体を洗い、その後散歩に出かけた。

家に戻るとスヌープが突然走りだし、ダニエルが後を追うと、父のサミュエルが頭から血を流し倒れていた。

ダニエルはすでに息をしていない父にすがり、大声で母を呼ぶ。

何事かと外に出るサンドラは、状況を知り、警察に電話する。

３０分後に警察が来て、サンドラに事情を聴くと、学生が帰ってサミュエルと少し話した後、耳栓をして昼寝したと言う。

サミュエルの検死を行うと、頭にぶつかったか、殴られたかの傷があり、それが死因だが、はっきりした結論は出なかった。

当初事故かと思われたが、現場検証の結果、事故にしては不審な点が多く見つかり、サンドラに殺人の疑いが向けられ、起訴されてしまう。

保釈金を払えないサンドラだが、ダニエルを一人にすることは出来ないと主張して、特例で警察側の人を付けることを条件に保釈される。

サンドラの古い友人の弁護士ヴィンセント（スワン・アルロー）が、彼女の弁護に当たることになる。

サンドラの家を訪ねたヴィンセントは、サミュエルを発見した状況を順を追って聞き、家の外や当時サミュエルが作業をしていた屋根裏に行き、彼が落下した窓を開けて、普段の行動などを聞く。

サンドラがヴィンセントに「私は殺してない。」と言うと、彼は弁護士の立場から「重要なのはそこではない。君がそう思われるかだ。」と言い、裁判で話す内容を決めて、裁判に臨む。

裁判では検事が色々と質問してくるがサンドラは冷静に応える。

すると、落下した小屋に付いていた血痕や前日の夫婦喧嘩など、次々にサンドラに不利な証拠が出てくる。。。

ん～ミステリー仕立てなのに消化不良かな。

殺人事件が起きると、犯人探しと思ってしまう固定観念打破の作品

映画云々より、スヌープ役のワンコの演技が凄くて、特に薬を盛られ瀕死状態からの復活する演技には驚きでした。

その国により裁判の風景も変わるし、法律も微妙に違ってくるので、そうなんだって思うこともありました。

裁判で重箱の隅を突き、攻めまくる検事と、応酬する弁護士で、裁判は当事者の知られたくない事実もほじくり出される事は知っていても、犯人って決まっていない被告の立場としたら、あまり気持ちの良いものじゃないです。

裁判ではサンドラが犯人と思わせる証拠や証言や状況証拠が次々に出てきて、夫婦仲とかサンドラの性格がわかってくると、ますますサンドラが犯人に見えてくる。

でもそうなると、ミスリードじゃないかと思えてきて、裁判で明らかになった事は、犯人も自供もない中でのいわば憶測であって、それって冤罪になりかねない事なのではと思ってしまいました。

最後は息子のダニエルが裁判長に自分の考えを訴えるのですが、彼なりに事件に決着を付け、家族を守る覚悟を見せた時の彼の顔が印象的でした。

興味のあった映画でしたが、ちょっと色々考えさせられてしまい、疲れました。。。