部活かクラブチームか | たまたまや、ゆうねん

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エフタマの応援ブログです(エフタマ非公認)。

教育産業で長くお勤めの方(Xさんとします)と話す機会がありました。小5のお子さんを中学になる時、クラブチームに預けるか、部活に進ませるか、について悩んでいらっしゃるお父さん(Aさんとします)と一緒に話しました。

 

以下、小5のお父さんAさんの悩みです。

 

************** Aさんの話 ***************

 

サッカーをクラブチームでやるというのは、専門性の高い指導者に効果的なトレーニングを学び、戦術も高度なものに触れられ、対戦チームも相応にレベルの高いところとマッチングされるので、指導者が人事異動でコロコロ変わる公立中学の部活などより遥かに効率よく、サッカーの技術を身につけ、選手として成長できるという事実ががある一方で、日本人の生涯年収(生涯賃金)というようなものの観点に立った時、やはり学歴はある種の分岐点になると考えられる。部活は終わって15分後には家に帰っているのに対して、クラブチームは、片道1時間という子もざらにいる。また始まる時間も午後6時半からのナイター練習というような中途半端な時間からで、それ以前に勉強するというのもなかなか難しい。午後9時過ぎに練習が終わって、1時間自転車を漕いで帰ってきて、風呂に入って夜食を食べたら、そのままバタンキュー。宿題を眠りながらやれるかどうか。つまり、クラブチームでいいサッカーを学ぶのは大変素晴らしいことだが、勉強する時間がなかなかとれなくなるという不安もある。強豪クラブチームなら、サッカー推薦で高校にいくことは可能だろうが、スポーツ推薦で入学してもその後(=大学)まで自動的にくっついてくるとは思えない。やはりサッカーとは別に勉強で高校に入り、高校でもサッカーは一生懸命やればいいが、基本線は勉強で大学を受けることに置いて、粛々と勉強を続けるのが一番蓋然性の高い戦術になるのではないか。と考えると素晴らしいサッカーを学べるクラブチームよりも、練習はぐだぐだでもさっさと帰ってひと勉強できる部活の方がよいのではないか。

 

************** Aさんの話おわり ***************

 

お子さんは少年団のエースなので部活よりもクラブチームでハイレベルなサッカーをしたいといっているそうです。悩ましい問題ですね。

 

ここで教育産業のXさんのご意見です。

 

************** Xさんの話 ***************

 

残念ならが、勉強には向き不向きがあります。向いている子は、やればやっただけ伸びます。不向きな子も多少は伸びますが、頑張った時間の割に伸びません。私どもの分析では、

 

 ①暗記力

 ②精神年齢

 ③活字経験

 

この三つが勉強に向いているか不向きかを分けるポイントです。とくに大切なのは、②の「精神年齢」と③の「活字経験」です。

 

③はわかりやすいですね、日頃から本を読んでいるかどうか、本よりは効率は悪いですが、雑誌や図鑑でも読まないよりはましです。漫画は駄目です。③が蓄積されている子は、後伸びが大きいので、大変有利です。また、本をよく読む子は精神年齢もいい具合に成長し(老け)ます。

 

①もわかりやすいです。テストは基本的に覚えているかどうかをチェックするものですから、暗記力がある子はそれだけで有利です。

 

案外、盲点になっているのが②です。身体の成長が個人差が大きいのと同じで、精神の成長もバラバラです。早い子もいれば遅い子もいます。精神年齢が大人だと、理屈や世の中の仕組みを理解できるようになりますから、国語や社会ができるようになります。国語はすべて科目の基礎ですから、やがてどの教科もできるようになります。精神年齢がまだ幼い子は、理屈で理解しようとしませんから、どんなにわかりやすい先生と巡り合っても理解できません。こういう子は、高校か、あるいは二十歳を過ぎて、急にいろんなことが分かるようになります。だから、精神年齢の幼い子に無理矢理勉強を詰め込んでも不幸なことになることが多いのです。②の成長が早ければ、中学受験に対応できたり、高校受験で華々しい成果を上げたりできます。②の成長が遅いと大学受験で伸びたり、社会に入ってから頭角を表したりしますので、その子がどういうタイプかで、「鞭を入れる時期」を見極めなければなりません。

②がまだ幼いのに社会や理科ができる(国語ができない)子は、②の成長を待っていれば、国語を中心に、他の教科も急にできるようになります。


一般企業で就職する場合、学歴は軽視できない条件になります。②が老けるのを待つといっても限界があります。本を読ませて、しっかりさせた方が大学にいくには有利でしょう。

しかし、無理をしてはいけません。その子の特性を見極めるのは重要です。引きこもりになってしまっては元も子もありませんから。

生きていくのに一番重要なのは、自立心と努力する精神力と集団でやっていけるコミュニケーション能力です。これらがない子はいくらいい学歴を得ても就職できません。万一就職できてもすぐにやめてしまいます。

部活やクラブチームでの集団での活動は、コミュニケーション能力や努力を継続する精神力を身につける絶好の場です。

さて、部活かクラブチームかの難問です。

部活は始まりも早く、行き帰りが短いから、夜、勉強する時間がとれる。クラブチームは移動時間を考えると放課後の夕方は軽食を採ったら隙間の時間が1時間くらいしかなく、帰りは風呂に入って夜食を採ったら、11時過ぎで、宿題をするのがやっと、という感じです。高校受験・大学受験を見据えた場合どちらがよいのか、ということですね。

その子の①②③を見極めて下さい。

つまり、勉強に向いているタイプかそうでないか。

SABCDの5段階で判定してみて下さい。

 

「S」はとても勉強のできる子です。サッカーをやめさせて塾でしっかり勉強させれば、開成や麻布にいけそうな子です。公立中学なら特に勉強しなくてもオール5マイナスいくつか(4が1つか2つであとは全部5)くらいでしょうか。

 

「A」は仮に勉強ばかりさせたとしても開成や麻布の難問は厳しいが、さほどの難問でなければ、学校の授業を聞くだけでたいていできるというタイプ。オール4プラスいくつか(5が1つか2つであとは全部4)という感じでしょうか。


「B」は家庭学習しなければ、オール3前後、サッカーをやめさせて塾に行かせる等(通信教育などの家庭学習でも一緒)してガシガシ勉強させればオール4という感じ。


「C、D」は、主要五教科に2がある子ですね。今現在はあまり勉強に向いていないというお子さんです。

「S」の子ならクラブチームでサッカー三昧でも、公立中学の勉強くらい楽勝ですから、中3の夏以降に引退して軽く勉強すれば旧学区の1番手には入れるでしょう。クラブチームに行くべきです。こういう子が東大か一橋か東工大にいきます。

 

「C、D」の子は、まだまだ勉強はしんどい時期でしょうから(と言っても英語だけは4をめざしましょう)、クラブチームで人間力とサッカー技術を磨いて、サッカー推薦で高校を目指すのがよいかと思います。高校では英語と国語と社会一科目だけを集中して早い時期から私立文系に絞ってこつこつやっておきたいです。とくに英単語は毎日3~5個覚える気迫で。


悩ましいのが、「A」と「B」の子です。

 

「A」の子は地アタマはいいのだけれどまだ、精神年齢が幼いというケースです。

 

部活でサッカーをしながら、塾にも通って(あるいは通信教育で家庭学習をしっかりやって)、オール5に持って行き、旧学区の一番手の都立高校を目指す、というやり方がひとつ。

 

もうひとつは、クラブチームでレベルの高いサッカーを学びながら、夕方の30分や寝る前の20分など短い時間を利用して、コツコツ自宅学習して、引退する夏からの7ヶ月でスパートをかけて、旧学区の二番手高校を目指すというやり方がひとつ。

 

 

このケースは前者(一番手高校)でも後者(二番手高校)でも、結局大学は似たようなところに進学します。地アタマは一緒なので。たいて、早慶かMARCHですね。精神年齢が高1で開花すれば、東大もワンチャンあります。大学進学は高校による差はほとんどありません。本人の能力だけです。自由過ぎる高校の場合、浪人したりしますが、結局、行くべき大学に行きます。

 

それならクラブチームでいいサッカーを学んだ方がいいという考え方もあります。その子にとって、どっちがプライドの主要素なのか、ですね。「FC多摩出身で町田高校経由早大」というのと、「部活出身で立川高校経由早大」というのと。親子で相談ですね。

 

「B」の子は、部活をさせずに、がしがし勉強させたら、ひょっとしたら旧学区の二番手に引っかかるかもしれない、という子です。実際は、そんなやりかたでいい高校に行っても、たいていはついて行けませんから、本人のためになりません。精神年齢が高1でがんがんと二、三段階シフトアップすれば、成績もジャンプアップする(付いていくどころかトップクラスに追いつく)可能性はありますが。

まずはちゃんと部活をやって、勉強もして、偏差値55~60クラスの高校を目指すというのがひとつの道。

 

もうひとつは、クラブチームでサッカーをがんがんやって、サッカー推薦を目指すという道。「C、D」と同じで、英語だけは捨ててはいけません。しっかり英語だけはやらねばなりません。なぜなら高校の教科で中学の内容から延長線上にあるのは、英語と数学なんですが、数学は捨てる(文系志望にする)ことはできても、英語を捨てることは大学受験を捨てることに等しいからです。サッカー推薦狙いでも英語だけは受験組に負けないようにしておきたいところです。社会や国語は新規蒔き直しで、高校から勉強し直しても間に合います。

 

「B」も「C」も「D」も、精神年齢の加齢待ちなだけです。必ず追いついて、酒場で自民党政権や民進党のだめなところを論じる、いいおっさんになります。焦る必要はありません。「S」や「A」が早くおっさんになるだけです。おっさん以上の位(くらい)はありませんので、おっさんとして足踏みして待ってくれています。

また、学歴をつくる時期(15~18歳)に精神年齢の劇的なシフトアップが間に合わなくても、落ち込む必要はありません。学歴が左右するような世界でぶいぶいいわせているのは、もはや早慶とかのレベルではなく、ハーバードとかスタンフォードとかイェールとかケンブリッジといった状況で、東大京大でも肩身が狭いというような世界ですから、関係のない別世界と思っておいた方が精神衛生上いいです。A以下は一緒です。

 

一番大切なのは、飯を食って行くために、職業人(プロ)としての何らかの技術を身につけるための努力が継続できる子なのか、社会や仲間とうまくコンタクトできるコミュニケーション能力があるのかどうか、です。それさえあれば、立派な社会人になれます。逆にそれらのない、学歴しかない人は、引きこもるしかないのです。

 

************** Xさんの話おわり ***************

 

Xさん、ハナシ長いです。

 

 

 

 

 

ざっくりまとめると、

 

 

 

 

 

「本を読んで、部活でもクラブチームでもいいから、しっかりサッカーをがんばろう」

 

 

 

 

 

ということですか?