調布に昔仕事で世話になった婆さまがいて、行くたびに昔の話をたくさんしてくれた。


戦中戦後の話から、多摩川が氾濫した話など、いろいろ聞かせてくれた。


ある日、おいらがいつものように仕事で訪ねて行くと婆さまは、いつもの様に昔話をしないで、


いきなりおいらにこう言った「風邪ひき男と目病み女」


おいらは良く解らなくて「何だい?」と聞き返した。


婆さまは「昔からみっともない者の事だよ」と教えてくれた。


続けて「今のあんたはみっともないから、早く帰って寝た方が良い」と言い行ってしまった。


確かにおいらはその時風邪をひいてかなり調子が悪かった。


風邪を引くとこの時の婆さまの言葉を思い出す。



今日もたいそうみっともないから早く寝ることにしよう。


おやすみ、婆さま…