低脳手紙(繰り返し語の訳し方) | 法律翻訳ネタと変人観察日記

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その他、食事日記やどうでもいいネタもあります。統一感のないブログですがよろしくお願いします。

前回の低脳手紙の日本語訳について読者の方から指摘がありました。

★原文

Dear Mrs. Black

On seven prior occasions, this company has denied your claim in writing.
We now deny it for the eighth and final time.
You must be stupid, stupid, stupid!

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最後のYou must be stupid, stupid, stupid!の日本語訳は「貴下は愚鈍であり、低脳であり、まったくの無知蒙昧に違いありません。」となっています。
(出典:原告側弁護人:ジョングリシャム(著)、白石朗(訳) 出版社:新潮文庫)


読者の方から「この部分の訳し方について疑問を感じる」という内容のコメントをいただきました。
コメントの内容については、低脳手紙をご覧ください。


確かに、"stupid, stupid stupid"など繰り返し言葉を訳すときには、異なる言葉をあてはめるように指導されました。また、翻訳者や言語学者のサイトでも、「同一言葉を繰り返すと、幼稚な表現になってしまうので、なるべく違う言葉を使うように…」との見解を述べている方もいらっしゃいます。


確かに、英語、日本語にかかわらず、正式な文書でこのような繰り返し言葉を使うと幼稚な印象を与えます。(そもそも、ビジネス文書でこのような表現は使わない)

しかし、テレビドラマなどで、感情的になって「バカ!バカ!バカーーーー!」なんて叫んでいる場面はよく見かけます。

この場合も、「何回同じことを言わせればわかるんだよ!馬鹿!」と感情的になって、stupidを繰り返したのかも知れませんね。


逆に、
「貴下は愚鈍であり、低脳であり、まったくの無知蒙昧に違いありません。」を英訳してください、と言われたら、みなさんはどのように訳しますか?

私だったら、
愚鈍
低脳
無知蒙昧
それぞれ違う言葉を使うと思います。

記事を書いているときには、この部分の訳について特に疑問は感じませんでしたが、よく考えてみると、「低脳!低脳!低脳!」などと同じ言葉を使った方が良いような気がします。(保険会社の担当者の対応が幼稚ですから…)

ちなみに、歌詞の日本語訳では"stupid, stupid, stupid"は「馬鹿で、馬鹿で、馬鹿で」と同じ言葉を繰り返しています。