最後の証人-反対尋問1 | 法律翻訳ネタと変人観察日記

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前回の記事 の続きです。


最後の証人は被告の銃弾を受けて片足を失ってしまったルーニー保安官でした。


そのルーニー保安官に対する反対尋問です。


"Any cross-examination, Mr. Brigance? "

反対尋問をどうぞ


"Just a few questions,"

"Officer Looney, who was Carl Lee looking at when he was shooting?"

2,3の質問だけにさせていただきます

ルーニーさん、カール・リーは銃を撃っているとき、誰を見ていましたか?


"Then boys, as far as I could tell."

2人の男の方だったと思います。


"Did he ever look at you?"

あなたのほうを見ていましたか?


"Well, now, I didn´t spend a lotta time tryin´ to make eye contact with him. In fact, I was movin´ in the other direction."

そうですね。私は、カール・リーと目を合わせようとする余裕などありませんでした。それどころか、彼とは反対方向に逃げようとしてたんです。


"So he didn´t aim at you?"

では被告人はあなたに銃を向けなかった?


"Oh, no, sir. He just aimed at those boys. Hit them too."

ええ、そうです。彼はただ、あの2人の男だけを狙っていました。撃ったのもあの2人だけです。


"What did he do when he was shooting?"

銃を撃っているとき彼は何をしていましたか?


"He just screamed and laughed like he was crazy. It was the weirdest thing I ever heard, like he was some kinda madman or something. And you know, what I´ll always remember is that with all the noise, the gun firin´, the bullets whistlin´, the boys screamin´ as they got hit, over all the noise I could hear him laughin´ that crazy laugh."

まるで正気を失っているみたいに、大声で喚き散らし、ゲラゲラ笑っていました。あんな不気味な声は、あとにも先にも聞いたことがありません。狂人じゃないかと思ったくらいです。これからも、ずっと忘れられそうもありませんよ。銃声がして、銃弾がうなりをあげて、撃たれた男達が悲鳴をあげていましたから、ものすごい音がしてましたけど、その轟音のさなかでも、カール・リーが狂ったように笑う声ははっきりと聞こえました。



この問答には入念なリハーサルが行なわれたようです。

ルーニー保安官の答えは完璧でした。

この後この公判の成否を握るもっとも重要な質問へと導いていくのです。


長くなるので、続きは次回…





【解説】

本文とは直接関係ありませんが、

立証に有用な証拠と究極の事実について解説します。


ある特定の事実を立証するための事実を「プロベイティブ・ファクツ」(Probative facts)といいます。このprobative facts は、立証に有用な証拠(Probative Evidence)から導き出されます。


ここで立証された証拠から究極の事実が導き出されるわけです。