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《 メンデルスゾーン/ハイネ : 『歌の翼に』、ほか 》(蘭フィリップス)
ヨハンナ・マリア・フィンセント(s)、フェリックス・デ・ノーベル(p)

新嘗祭ということで、豊穣の女神の如きソプラノを聴く。

「天壌無窮、宝鏡奉斎、斎庭稲穂」

世は乱れ、益々もって政治はグダグダ、経済はガタガタと、今この国はひどい状況に陥っているけれど、宮中のマツリゴトが恙無く執り行はれて居ることだけが、幽かに慰めである。

メンゲルベルクのマタイ受難曲でお馴染み、ヨー・フィンセントの澄みやかでぬくもりのある歌声に暫し身を委ねる。オペラは歌わず、歌曲と宗教曲にのみ精進したフィンセントの歌がとても深い。ここに歌われたシューベルト、シューマン、ベートーヴェン、リスト、ワーグナー、チャイコフスキー、グリーグの歌すべてが素晴らしきみのりである。作曲家フェリックス・デ・ノーベルのピアノがまた美事。