7日のアジア通貨市場では、韓国ウォンとフィリピンペソがドルに対して下落した。原油価格の上昇が圧迫要因となった。またトレーダーは、アジアの一部の中銀が自国通貨の上昇ペースを減速させるため、一段の介入を実施するのではないかと警戒している。

 ディーラーによると、インドネシア、フィリピン、台湾、タイ、シンガポールの中銀がドル買い介入を実施した。ただ、アジア全般のインフレ圧力の高まりを考慮すれば、介入はあくまでも自国通貨の上昇ペースを減速させるのが狙いで、自国通貨安を目指した動きではないとアナリストは指摘している。


 先週末4日にタイ中銀は5億ドルのドル買いを、台湾中銀は4億ドルのドル買いを実施したとトレーダーはみている。


 リビア情勢が混迷を深める中、原油相場は供給難への懸念から2年半ぶりの高値をつけた。




 ウォンの対ドル相場は下落。投資家がドルのショートカバーに回ったことに加え、1110ウォン半ば近辺の水準で輸入企業による決済向けのドル需要が入った。


 一方、輸出企業による決済向けのウォン買いも見られたことから、10日に中銀の金融政策決定会合を控え、ウォンの下げは限定的だった。


 ウォンは中銀の会合前に年初来高値となる1102ウォンをつける可能性もあるが、韓国の外為当局がその水準近辺でドル買いに出ると予想されるため、ウォンがその水準を突破する可能性は低いとディーラーは予想している。




 フィリピンペソPHP=は対ドルで小幅下落。ディーラーによると、原油高を背景にドルのショートポジションをカバーする動きが出て、市場は引き続きドル買いが優勢となった。


 ただ、フィリピンの財務相が同国のインフレについて、物価上昇の圧力は増しているものの当局の目標レンジ内にとどまっており、他国と比べるとよくコントロールできていると発言したことが、ペソの下値を支えた。


 一方、フィリピン中央銀行(中銀)が1ドル=43.25ペソで為替介入を実施したとの見方があることから、投資家は引き続き中銀のドル買い介入を警戒している。

4日のアジア通貨市場では、インドネシアルピアが対米ドルで約4年ぶりの高値に上昇。同国中央銀行がインフレ抑制のため、ルピアの上昇を活用することに前向きな姿勢を示したことが背景。

 インドネシア中銀は4日の政策会合で政策金利を据え置いたが、今後徐々に金利を引き上げる方針を示し、ルピア相場について、輸出業者の競争力を損なうことなく上昇する余地がまだあると指摘した。




 ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの首席為替ストラテジスト、クリストファー・ゴサード氏は「中銀はきょう、ルピア高がインフレ問題の解決に役立つことを認めた」と語った。




 インドネシア中銀や、シンガポール、フィリピン、タイなどその他のアジア諸国の中銀はドル買い介入を行ったとみられているが、ディーラーによると、当局の介入は、自国通貨の上昇ペースを減速させるのが狙いで、インフレ圧力の高まりにつながる自国通貨安を目指しているのではないもよう。




 ドル/ルピアIDR=IDR=IDは一時0.3%下落し、8780ルピアをつけた。2007年6月以来のドル安/ルピア高の水準となる。




 台湾ドルTWD=TWD=TPは対米ドルで29.310台湾ドルと、2月18日以来、約2週間ぶり高値をつけた。海外投資家の台湾株買いが続いていることが背景。




 ウォンKRW=KRW=KFTCも同様の要因から対米ドルで約2週間ぶりの高値をつけた。ウォンは2月21日以来の高値となる1米ドル=1114.1ウォンまで買い進まれた。ドルは韓国当局のドル買い介入への懸念と輸入企業の買いに支えられた。




 米ドル/フィリピンペソPDSPESOはじり安。 


 値決めに向けた需要が背景。一方、ペソ高に歯止めをかけるため、フィリピン中央銀行(BSP)が米ドル買い介入を行っていたもよう。ディーラーによると、1米ドル=43.25─27ペソ近辺で米ドル買い介入を実施した。


 フィリピン統計局が4日発表した2月の消費者物価指数(CPI)は前年比4.3%上昇となり、1月の3.6%から加速した。これを受け、BSPのテタンコ総裁は政策金利を据え置く余地は狭まったとの見解をあらためて示した。


 2月のインフレ率が昨年5月以来の高水準となったことを受け、BSPが今月、金融危機後初めての利上げに踏み切る可能性が高まったとみられている。


 BSPが何らかのインフレ抑制措置を講じた場合、ドル/ペソは43.25ペソ(2月21日の安値)にある支持線を割り込む可能性がある。


 この支持線を下抜けた場合、42.90ペソまで下落する可能性もある。一方、43.60と43.90ペソに強固な上値抵抗線が形成されている。

3日のアジア通貨市場は、韓国ウォン主導で上昇。原油価格の急落を受け、アジア株に資金が流入していることが背景。



 混迷するリビア情勢打開への期待から原油先物が下落。北海ブレント先物は3ドルを超える下落となっている。


 クレディ・アグリコルCIB(香港)のストラテジストは、原油価格の下落はリスク選好につながり、アジア通貨を支援することになると指摘した。




 ウォンKRW=KRW=は1ドル=1119.3ウォンと、2月21日以来の高水準。ファンド勢の買いに押し上げられた。韓国中銀の利上げ観測も支援材料となっている。




 ドル/シンガポールドルSGD=SGD=D3は、シンガポール金融管理局(MAS)がドル買い介入を行ったとみられるものの、過去最安値をつけた。


 投資家は、MASがシンガポールドルの一段高を容認するとの見方を維持している。




 ドル/台湾ドルTWD=TWD=TPは下落。輸出業者のドル売りが背景。ただ欧州中央銀行(ECB)の政策理事会と米雇用統計の発表を控え、商いは低調となっている。


  

アジア通貨市場では、フィリピンペソが下落した

ものの、原油価格の上昇にもかかわらず、総じてレンジ取引となった。


 ただ、アナリストは、各国当局がインフレ抑制に向けたさらなる措置を講じなければ、


アジア通貨は圧迫される可能性があると指摘している。


 特に韓国ウォンは、2月の同国消費者物価指数(CPI)上昇率が2年3カ月ぶりの高


水準に加速し、市場予想を上回ったことから、中央銀行が利上げしなかった場合、最近の


取引レンジを下回る可能性が高いとみられている。


 ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(香港)の外国為替部門責任者、クリストファー・ゴ


サード氏は「韓国中銀が利上げを行わなかった場合、ウォンは1ドル=1135ウォンを


下回り、1155/60ウォンに迫る可能性がある」と語った。




 ドル/ウォンKRW=はほぼ変わらず。造船会社や自動車メーカーなど輸出業者が決済の


ためドルを売ったことが背景。


 ドル/ペソPDSPESOは上昇。原油高を背景にドルのショートポジションをカバーする


動きが出た。ただ、上値はフィリピンへの本国送金により限定的となった。


 投資家は、フィリピン中銀の次の動きに注目している。同中銀はハト派的なスタンスを


転換し、インフレ期待の高まりにより金利を据え置く余地が狭まっていると指摘。今月に


も利上げを行う可能性を示唆した。


 マニラのディーラーは、中銀が利上げしなかった場合、市場がすでに利上げを織り込み


始めていることから、ドル/ペソは一段高となる可能性があると指摘した。


  

アジア通貨市場では、インドネシアルピアが対ド

ルで、上値を削る展開となった。この日発表された2月の同国消費者物価指数(CPI)


上昇率が予想ほど強くなかったことから、若干の利食い売りが出た。市場では4日のイン


ドネシア中銀会合までルピアの利食い売りが続くとの見方が出ている。


 インドネシアの食品価格は2月、4年ぶりにマイナスとなり、4日の中銀会合での利上


げ圧力を低下させた。


 ルピアは前月、予想外の利上げを受け、2009年9月以来の大幅な月間上昇率を記録


していた。


 クレディ・アグリコールCIBのシニアエコノミスト兼ストラテジスト、Dariusz


Kowalczyk氏は「特に4日の会合で金利が据え置かれた場合、ルピアにある程度の利食い売


りが出る可能性が高いとみている」と語った。


 在ジャカルタの米銀ディーラーは、金利据え置きとなった場合、ドル/ルピアは


8850―8875ルピアのレンジに上昇する可能性があるとの見方を示した。




 ドル/フィリピンペソPHP=PHP=PHは、ドルのショートポジションを拡大する投資家


の動きを背景に下落した。


 在マニラの欧州系銀行のディーラーは「投資家は、1ドル=43.40―43.45ペ


ソを視野に新たなショートポジションを積んでいるようだ」と指摘した。