母ちゃんは、今日も病院のベットでがんばっている。

最近、眠りが浅いせいか良く夢をみる。

目覚めると夢を見た事は普段は忘れてしまうが、眠りが浅いと断片的では有るが覚えている事がある。
現実離れした不可思議な夢を見る。
夢とはそういうものか。

車の様な物で誰かをどこかに連れて行っている。
大切な人を乗せていた様だ。
とても急いでいる。
眼の前には雲に隠れんばかりのとてつもなく巨大な建造物がある。
建造物は、蜂の巣の様な細かな部屋で構成され、外周には螺旋状の車道がありそこを登っていく。

カードの様な物を読み取り機の様な物に差し込むと行き先なのかライトの様な物が光った。

道も光る。


巨大な扉をいくつも通り目的地に到着した。人が数人出て来て、コンビナートの様な、巨大な巻き貝の様な装置が多数並ぶ部屋のベットに連れて来た人を寝かす。
私が、この装置は、何ですか?と問うと、
医師の様な人が「簡単に言えばこれはフィルターの様な物で人体の細胞、分子単位までスキャンし、エラー部位があれば分子単位で体外に弾き排除し、不足部位があれば、再構築する装置です。」
と説明してくれた。

それでは始めます。
装置が重低音で震え、ベットに乗せたひとの上から小さな巻き貝の様な装置のついた板が降りて来て包み込む。

自分は何故かしらウトウトする。

部屋から出ていた様だ。


どれ位時間が経ったか判らないが、「上手くいきましたよ」との声に装置のベットを見ると誰も見当たらない。

衣服と何かドロドロする物があるだけ。

甘い様な独特の匂いがする。


次の瞬間ベットの下から箱の様な装置がゆっくり出て来た。
しばらくして箱の様な装着から手がゆっくり伸びて来た。
運んで来た大切な人の手だ。
若々しく光っている。
手袋をした手でその手をつかみ、「良かった、良かった」
涙がでた所から覚えていない。

何十年先、何百年先、何千年先の夢の話しかもしれない。

今考えると現実離れした夢でした。

今であってほしいとつくづく思いました。


つづく