日本は米国のような家族構成の変化による中古住宅の買い替えはあまり行われていません。住まいが変化に対応できずに居住環境が低下しそうで、結局立て替えたほうがよいと判断するのでしょう。それを物語っているのが中古住宅市場の規模です。日本の新築住宅の着工数は、米国と大きな差はないにもかかわらず、中古住宅市場規模は米国の28分の1にすぎません。日本ももっと中古住宅市場が大きくなれば建設廃材も少なくなり、環境負荷も軽減されます。環境省によると、日本の建設廃材の排出量は年間約7300万トン、一方日本全体が排出する一般ゴミの量は約4500万トンで、いかに建築廃材が多いかがわかります。これからの社会はできる限り廃棄物の削減とリユースを実行していくことが求められていくでしょう。そこで、中古住宅を長もちさせる方法の一つに重ね着のアイデアがあります。これを住宅に置き替えると、劣化した材料の上に新しい材料を重ねていくという手法です。そうすることで廃材の排出を少なくし、はがす手間代も削減することができます。衣服は寒い日などは何枚も重ね着しますが、ただ何枚か重ねても服と服の間にできる「空気の層」が押しつぶされると保温効果はダウンします。つまり空気の層を上手にコーディネートすることが重ね着しても着ぶくれせずに暖かくなるコツです。リフォームにおいても同じようなことがいえます。工事をする場所に応じて適切な材料を選択し、着ぶくれさせないように施工することがポイントなのです。
■リフォームとは「生活図面」をつくりあげることです
日本人は広さの感覚をつかむ際、リビングは15畳、浴室は2畳など、畳の枚数で広さをイメージします。これは今なお床に座るという生活様式の流れが残っているからです。一間(1818mm)と半間(909mm)が畳1枚であり、畳2枚で1坪(3.3㎡)と非常にわかりやすいルールがあるため、素人でも方眼紙で間取りを考えることができます。専門家の場合、プランニングして平面計画がまとまれば柱の位置を決めますが、これも一間(1818mm)による割付け寸法が骨組みの基準となっています。したがって部屋の面積を計算する場合、柱や壁の中心から計算するので、柱や壁の厚さの半分だけ床面積は若干狭くなります。しかし、ヨーロッパなどでは壁の内側の実際に使うことのできる面積で考えます。リフォームを計画する際には、足を伸ばせる浴槽を入れたいとか、この場所にこの家具を収納したいので何cm広げてほしいとか、日常の不便さを解消したいという生活の要求から始まります。リフォームの場合、新築時と違って前述のような寸法や柱の位置はあまり意識しません。むしろどれだけ有効面積が確保できるか考える分、ヨーロッパの考えに近い感じがします。つまり新築とリフォームは大きなとらえ方をすれば、広さに対する求め方が違うということです。新築は決められた基準寸法から広さを割り出していきますが、リフォームは有効に使える広さを確保してから寸法を決めていきます。新築はつくり方も含めながら間取りを表現すること、リフォームは生活をつくる図面をまとめあげることなのです。
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