今日は午前のみの外来診療でした。

昨日の手術の患者さまの経過は概ね良好でよかったです。

 

前立腺肥大のお薬を飲んでいてIFIS(術中虹彩緊張低下症候群)だった白内障の患者さまは、今日の診察では眼圧が高めで眼圧を下げる点眼が必要でした。

虹彩の緊張が弱く瞳孔が小さくなってしまう眼だったため、手術の時に使うゼリー状の薬剤(粘弾性物質)などがどうしても目の中に残りやすく眼圧が高めになってしまうことがあります。眼圧が高いと心配かもしれませんが、通常は一過性で、ずっと眼圧を下げる点眼を使わなければならないことは少なく、安心して大丈夫と思います。

ただ、次回、反対の眼が来週の水曜日に手術予定でしたが、ご本人からちょっと痛みもあって心配だしということで、更に2週間後に延期とさせていただきました。

両眼手術の予定は予め立てることが多いと思いますが、片眼が終わった時点で、見え方がまだ不安定だったり、今回のように痛みが気になる場合、必ずしも予定通りの日程でなくとも、焦らず落ち着いてからもう片方の眼の手術をした方が、よりよい見え方、結果を得るためにはよいかと思っています。

 

手術の申し込みは黄斑上膜の硝子体手術とICLと眼内レンズ交換がありました。

 

黄斑上膜は網膜の中心部の黄斑の表面に異常な膜が張ってしまう病気で歪み(歪視)、中心部の見えにくさ(中心暗点)などが現れます。

この黄斑上膜は治すとなると、硝子体手術でこの膜を剥がすことになります。視力が低下してから手術することが多いですが、白内障などとは違って、網膜の病気は進んでしまうと元の視力、見え方に戻らないことも多く、あまり進まないうちに手術をすることが大切かと思っています。

この患者さんは矯正視力は1.2でしたが、まだ50歳になったばかりで年齢的にお若く、既に歪みの自覚もあり、いずれ手術が必要になるのであれば、あまり進行して見えにくさが残ってしまうよりは、なるべく網膜のダメージが少ない今の時期に手術をしたいと希望され、手術を予定させていただきました。

↑黄斑上膜の眼底写真

 

↑黄斑上膜のOCT画像(向かって左側が黄斑上膜、右側は正常です)

 

ICL(当院ではEYECRYL PHAKICというphakic IOLを使用しています)はレンズを眼の中に入れ近視を矯正する治療です。

適度な近視は近くを見るにはよい眼で、40〜50代になって老眼が出てきても、裸眼で近くを見られ便利なところもあり、矯正する手術はよく考えてした方がよいと思っています。とはいっても20代の若い人が20〜30年後はなかなか想像できないかもしれませんが。(ちなみに僕は軽い近視でしたが、そんなことは全く考えずに20代でLASIKを受けました、、、)

この患者さんは20代の大学生でこの春から就職し、夜勤もあるということでずっとコンタクトも厳しいかもと思い手術を考えたそうです。近視を治す手術にはICLとLASIKがあり、一長一短ありますが、この患者さんは-10Dのかなり強い近視でLASIKでは角膜をかなり削らねばならず適応的に難しそうなのでICLということになりました。

近視があれば、全て治した方がよいというものではないと思っていますが、このようにすごく強い近視では、裸眼ではかなり不自由ですし、眼鏡でも見えにくさが出てしまうので、ICLなどの近視矯正手術はよい治療かなと思います。

 

眼内レンズ交換は埼玉からの患者さんでしたが、わざわざ遠方からありがとうございました。

眼内レンズ交換は否定的な先生が多いのですが、見え方をよくしようとして受けた白内障手術で思ったような見え方でなく、術後に困ってしまっているなら、レンズを交換することで見え方をよくすることが可能であれば、レンズを入れ換えてあげた方が絶対よいと思っています。

ですので、白内障術後の見え方でお困りの方はぜひご相談ください。

 

手術はもちろん100%安全というものでもないですし(100%安全にするつもりで手術はしていますが)、メリットもあればデメリットもありますが、しない方がよいというものでも(しなくてよくなるならしない方がよいですが)、するならなるべく遅い方がよいというものでもないと思っています。自分にとってどの治療がよいのかよく考えて適切なタイミングで手術を受けることがとても大切だと思います。

 

皆さま、今週もどうもありがとうございました!

また月曜日からよろしくお願いしますm(_ _)m