【執筆年月】2024年6月
天使…常に自分が正しいと思い込んでいる原理主義者。正義しか勝たん、が口癖。甘い物好き。
悪魔…ひねくれ者ですぐに機嫌が悪くなる気分屋。他人の意見を否定しがちで面倒なコトが大嫌い。ちなみにネコ派。
堕天使…マスターの本心を鋭く抉ってくる自称闇の最強サーヴァント。酒好きで、酔うとその威力がさらにブーストされ、手がつけられなくなる。
で、いきなり本題なんだけど「ツインレイ」って知ってる?
あぁ、なんか最近SNSとかでもよく見るよな。要するに運命の人、的な?
ま、一応そうなんだけど直訳すると「魂の片割れ」らしくって、もともと前世では一つの魂だったものが二つに分かれてそれぞれの肉体に宿ったことを指すらしいよ。
ボクはそういうスピリチュアルな話は信じないんだけどね。
何言ってやがんだ。お前も天使って名のスピリチュアル的な存在じゃねぇかよ(笑)
で、それなんだけどマスターがさ、最近「俺のツインレイを見つけたかもしんない」って言うのよ。
どう思う?
どう思うって、そんなのただの思い込みなんじゃねえの?
あいつさ、そういうこと多いから。
変にロマンチストぶってるからね。
顔に似合わず。
でもさ、不思議なコトが立て続けに起こるって言うんだよ。
こないだもね、仕事帰りに「ここで偶然バッタリ現れたらいいな~♪」とか想像してたら、本当に目の前を横切っていったとか。
休みの日に「あのコの声が聞きたいな」とか思った瞬間に電話がかかってきたとか。仕事話だけどね。
ただの偶然だよ。ぐ・う・ぜ・ん。
人間生きてりゃそんなコトぐらいあるぞ。
そんなんで運命だ、神のいたずらだなんて騒いでたらしんどいぜ。
でも一度限りじゃなくて、何度も起こるんだよ? 不思議じゃね?
俺は普通じゃない、何か持ってると思うんだけどなぁ。
偶然じゃなくて必然、みたいな。
マスターはそのコのコトが好きなの?
妻子あるいい歳こいたオッサンだろ?
ったく正義も倫理もありゃしないよ。
俺もそこだけは同意してやる。
一番ダメなやつだろ?
好き、じゃなくて大好きらしいよ。
どうも出会う前から予感はあったらしいんだ。趣味ってゆうか路線が近いってゆうか。プロフで知ったんだって。
こじつけだろ。都合のいいように解釈してるだけじゃん。
それはマスターから聞いたことあるわ。
ボクは「あんま期待すんなよ」ってクギ刺しといたけど。
それでマスター、最初は乗り気じゃなかったんだ。むしろ苦手意識すら感じてたもんな。
でもある時気持ちが変わったんだって。
何があったの?
ある日仕事中にかかってきた電話を取ったの、そのコが。
そしたらそれが悪質なセクハラ電話だったの。酷いこと言われたようで、彼女泣いちゃったの。
それはボクもつらい…
でさ、その時マスターは思ったの。
すぐそばにいておきながら何もしてあげられなかった自分が悔しい。悔しくて自分に腹が立つ、って嘆いてた。
それで愛情が芽生えたの?
いや、トリガーはそこじゃないんだ。
確かに職場の仲間としてのマスターの立ち位置に対する反省と役回りの再確認はしたみたいだけど。
当ったり前だろ。大切な仲間なんだから。
それにソレとコレは、話の辻褄が合わないよ。
それから数年後のコトなんだ。
あの時のことはマスターも辛くなるから思い出さないようにしてたんだって。
ところが同じ職場チームの別の社員がいろいろ問題抱えていて、その中の一つに電話応対問題があったんだ。
あぁあの時チーム内で回覧文書に赤い文字で書きなぐってたやつね。
俺も知ってる!
マスターが珍しく文章でぶちギレたやつな!
そうそう、それなんだよ。
その前にその彼が電話を一切取らないって話の流れで、彼女が「あの」時の話を打ち明けたんだよ。
その時にマスターの中で「悔しさ」が再発したと。
そう。そんなやり取りが背景にある中で彼が軽くいなすような反応を示したもんだから……
マスターがぶちギレた!
マスターがぶちギレた!
その時マスターは思ったんだって。
あれ、この感情は何?って。
あの時の自分に対する悔しさを否定された怒りだけじゃない。
辛い過去を打ち明けてくれた彼女への侮辱とも取れる態度への怒り。
ない交ぜになった二つの怒りが昇華して再びマスターの元に舞い降りてきたとき、なぜか「このコのこと、俺が護らなきゃ」って思ったらしいよ。
その繋がりがよくわからない。
マスター自身を否定された怒りが、彼女を否定された怒りにすり変わったってことか?
うん。それで彼女のために必死になってたとマスターは思い始めたみたい。
何だかよくわからないけど、それがキッカケなんだということは理解した。
ところで「ツインレイ」の話はどこ行ったんだ?
前にマスターが「シンクロニシティ」の話をしてたんだけど、それも関係あったりするんだよね。
そうなんだ。元は一つの魂だったから同じことが起こりやすい。
価値観も思想も、行動パターンも。
似た者同士になっちゃってる。
身体的特徴にも共通点があるとも言われてるけど、流石にそこまではわからないなぁ。
そらそうだろ。見たのかよ。
マスターのスマホのプレイリストの話も?
よく考えると魂レベルの呼び掛けあいなのかも知れないよね。
誕生月と血液型の話は?
うーん…
これは過去の履歴も関係してくるからな。全員がツインレイなワケないし。
でもそのツインレイ候補の誕生月と血液型まで同じだったってのは、何か意味を持ってると思うぜ。
ってことは今のマスターの嫁さんも含めて、ツインレイさんに巡り逢うための前フリだったってコトなのかよ!?
しかしこれだけ状況証拠が出てくると、ツインレイを信じざるを得なくなるなぁ。ボクの正義には反するコトだけど。
そのトリガーとなった事件以降、妙に彼女を意識するようになっちゃって。
マスターがよく言うには「よく目が合うんだけど、その度に胸がときめくんだよね~」とか「他愛のない会話をするときが一番楽しくてドキドキする」とか。
側にいるだけで元気貰えるんだって。
それって完っ璧、恋愛感情じゃん。
それがどうも恋愛感情だけでは片付けられないみたいなんだ。
論理的に説明不能な、理屈のない感情。
マスターに彼女のどこが好き?って聞いても「わからん。好きだから好きなんだ」って言うだけ。
マスターは「魔法にかかった」って言ってたけど。
わかる気がする。好きなものに理由なんてないってやつだね。
目が合うと心ときめく?
側で会話するだけで楽しくてドキドキする?
十分な理由じゃん。
問題はその順序なんだ。
普遍的な恋愛感情から来たのか、ツインレイ的な魂の出逢いによって湧いてきた感情なのか。
そこって重要なのか?
それこそ好きだから好きでよくね?
いや、ツインレイかそうじゃないかはとても重要なんだ、今のマスターの立場上。
…マスターに聞いたんだ。
そこまで好きなんだったらコクっちゃえば?って。
いや、それは止めといた方がいい。
却ってそのコを不幸にさせちゃうコトだってある。傷ついちゃうコトだってあるからね。
うん、その辺はマスターも判ってんだ。
だから言えない、言わない、言いたくないって意地張ってんだ。
この気持ちは墓場まで持ってくって。
それでいいのか?
そんなんでメンタル保てんのか?
普通、病んじまうぜ?
もし本当にツインレイなんだったら、告白するのは必然。魂は結合されるべきなんだ。時間の問題だよ。
そうじゃなかったらただのオッサンの戯言。互いに不幸な結果、一直線ってか。
だから慎重なんだね。
うん、マスターすごく悩んでる。
正気に戻って距離を置いてみようとか、煩悩を捨てに行こうと試行錯誤してるみたい。
かかってしまった魔法を解くのは彼女しかいないとも言ってたね。
トドメ刺してくんねぇかなってね。
あれって煩悩を捨てに行く旅だったの?
てっきり聖地巡礼の旅だったと思ってた。
結局煩悩は捨てきれてないんだよね。再び出逢っちゃうと。
魂の仕業?
わからない。でもだいぶそっち寄り。
つい最近、信頼関係を損ねかねない残念な出来事があったんだって。
彼女にとってはホント不幸なアクシデントだったんだけど、その後の対応…が、ね。
信頼してた人に裏切られたら、その分怒りとか反動がブーストされるってやつね。
あぁ確かに怒ってたな。起こった事実でさえ疑ってたもんな。
心配して損したとか言い放ってたぞ。
あの旅の直後だったから、煩悩を捨てたとしたらそれで話は終わってた。
でも結局誤解であって、聖地巡礼の旅にしっかり修正されてた(笑)
で、スピリチュアルを感じたと?
いやもっと前からシンクロニシティとかは意識あったみたい。
だいたいマスターは鈍感だから、気づくの遅せーよって突っ込みたくなることはよくある。
あと、こう話しかけられたらこう返してみようとかシミュレーションするんだけど、大概そう話しかけられてもこねぇ。
用意していた台本通りにいつも行かない。
それが魂うんぬんとどれだけ関連性あるかはわからないけど、それはマスターの脚本力の乏しさだけだと思う(笑)
結局突き放せなかったんだ。
断ち切れなかったんだね。
そうなんだよ。そこはマスターの気の弱さから来てるんだってさ。
優しさ?って聞いたら全力で否定された。
俺は偽善者だからって。
マスターって「優しい」って言われること極端に嫌がるもんね。
「それは俺の事ナメてるのか?」って。
過去に散々、辛酸嘗めてきてるからね。
おっと、それは駄洒落か?
とにかくマスターはそのコをどうしたいわけ?
マスターはとにかく、そのコを幸せにさせるのが俺の責任。って言ってた。
そのコの幸せの場にマスターの存在があるのかないのかについては言及してない。
それってサポート役でもいいと?
そうなんだ。選択権は彼女だからって。
彼女に最もふさわしい相手がいるんだったらマスター自身は引き立て役に回ると。とにかく彼女の心の支えでいたいってね。陰から支えたいって。
彼女、意外と不安症なんだよ。
そっか、それはそれで切ないね。
そんなコト言ってるけど、本音は逆に彼女がマスターの心の支え、最強の味方になって欲しいと願ってるんだよね。
だから捕まえて離さない。
マスターの方こそ本当の味方を手にしたい、なんてね。
マスターも意外と不安症なんだよ。
そんな中での「ツインレイ」疑惑?
そそ。そこに気づいたんだよ。
ま、ツインレイって言葉はバカの一つ覚えみたいなもんだけど、ずっと悩んでたコトに一筋の光が差し込んだって、ちょっと浮かれてんだよね。
納得しちゃった?
まぁね。落としどころってゆうか。
告白する気になった?
まだ悩んでる。
難しいね。タイミングは大事だから。
そろそろ年貢の納め時じゃね?
時は来た、ってやつ。
そこまで覚悟はできてるの?
後には退けないよ?
後悔しない?
いや、もう崖っぷち、瀬戸際だよ。
飛び込んじゃいなって。
一回深呼吸しようよ。
思いきって黙って強く抱きしめるとか。
大胆すぎる~(怖)
待って待って待って。
勝手に話を進めない!
マスターの今の気持ちを確かめようよ。
もう待ったなしだろ。
アバンチュールな夏が始まるぜ?
その前に梅雨入りだろ?
とにかくマスター曰く、ちょっとずつ前進させてるみたい。
ずっと様子見なんだけど。
一方でマスターはちょっとずつブロックサインは送っているみたい。
でも相手に正確に届いてないんだって。
もっと強引に誘ってみてもいいんじゃないかってね。
もう抱いちゃいなよ。
そんな都合のよいシチュエーションなんてないってば。
だからちょっと待てって(笑)
あと一回、次に事件が起きたらそこが潮時じゃね?
なるほどね。
下手に小細工するよか、大胆に直球投げる方が効果あるかもね。
こないだのドライブデート()みたいに?
あれは半ば拉致みたいだったぞ?
ちょっとはにかんだ嬉しそうな表情がたまらなく可愛らしかった。
マスターは些細なコトに可愛さを感じるもんねー
目があったときは勿論、うつむき気味の時だって、横顔だって。
後ろ姿だってさ。
可愛くって可愛くってキュンキュンしちゃうんだってさ。
大人げないね、マスターってば(爆笑)
こらこら、ここぞとばかりにマスターの事悪く言わないの!