私が派遣社員で働いていたとき、企業から突然契約社員として直接雇用する旨が全員に伝えられました。そのときは正社員になれる前段階くらいに思っていました。派遣社員の仕組みや法律もよく知らないまま漫然と働いていましたから。いわゆる派遣の3年ルールがいつ施行されたのか知りませんがたぶんそのあたりに抵触するため直接雇用に切り替えたようです。不思議なのは契約社員となったあとも派遣会社の担当者が出入りして我々の面倒をみていました。一定期間後にまたその派遣会社の派遣社員に戻す前提だったからでしょう。労働者派遣法なんて絵に描いた餅であり企業と派遣会社は結託して法律の隙間を抜けて、企業は労働力を安く使い派遣会社は我々から搾取しているわけです。冷静に考えれば正社員になんてなれるわけがありません。

 

そしてリーマンショックが始まって仕事がほとんどなくなってしまい私は製造ラインを離れて製品のデモ動作を行う小さな部屋で一日ただ座っているだけの仕事になりました。同僚の派遣社員は次々に辞めたり解雇となって減っていきました。やがてある日全員が解雇される日が来ました。

 

翌年再びこの会社で契約社員の募集があり、求職活動中だった私は性懲りもなく応募しました。最初は採用するとの返事でしたが電話がかかってきてやはり不採用と告げられました。おそらく私の名前に気が付いたかつての現場の上司が「こんなオッサンだめだ」と人事に伝えたのでしょう。それはそれでショックでしたがそれが悔しくて就職活動へのやる気にもなりました。