高浜原発の再稼働をめぐる関電・経産相発言について | 狂直の日記

狂直の日記

多摩武蔵守のブログです。
こちらのブログは政治話中心で行こうと思います。ブログタイトルは『三国志』虞翻伝の評より拝借しました。
Twitterアカウントは https://twitter.com/tama_musashi です。

「誤解招いたこと陳謝=高浜原発『最有力』発言で-八木関電社長」(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/eqa?g=eqa&k=2012072700687

 私は、関電社長の発言は軽率だったのではないかと考えます。
 大飯再稼働はある程度の地震・津波への耐性があると確認されたことや、再稼働しない場合20%の節電要請が必要、計画停電の恐れありといった理由によるもので、他の原発を再稼働させるべきか・させてよいかはあくまで個別具体的に判断されるべきと考えます。
 また、関電がどのくらい安全対策に取り組んだかにも疑問が残ります。事故時の指揮をとる免震重要棟もありませんし、事故時の避難計画も未整備です。福島の事故の原因究明やそれを反映した安全基準と対策が絶対必要であって、なし崩し的に元に戻るのは反対です。
 ただ、関電は「再稼働は安全が確認された上で」ということを認識していることは付け加えておきます。

 また、私は枝野経産相の反応にも強い違和感を覚えます。ですから関電は謝るほどのことでもないし、枝野氏も他人事のように関電を非難している場合か、と思います。

 第一に、原発の安全基準を作り、守らせているのは政府です。
 したがって、関電への返事は「いついつまでに新しい安全基準を作るから、それに基づいて対策をしなさい。それから安全性の審査をしますから、それまで待ちなさい」でなければならない、と考えます。
 第二に、政府には原発の安全だけでなく、電力の安定供給にも責任を負う立場です。
「電力不足なのだから原発再稼働を」「電力不足のせいで熱中症の死者が何人も出た」と安易に主張するつもりはありません。
 しかし、節電が多くの国民に我慢や負担を強いているのは事実だと考えます。将来の展望もなしにいつまでもその状態を続けるのは、政治のあり方として正しいとは思いません。
 したがって政府の返事は「安全性が最優先。しかし節電をいつまでも強いることもできないから、安全対策完了までの工程表を作ります。それまで待ってください」でなければならないだろう、と考えます。
 第三に、「原発に対する国民の不安」を作ったのは、政府にもその責任があります。福島原発の事故の際、政府の対応に不手際があったことは国会事故調が指摘するところですし、その際枝野氏は官房長官でした。
 他人事のように「強い違和感」などと言っている場合か、それに関電は事故を起こしていないのだから、むしろ政府の不手際のとばっちりを受けている立場だろう、と言いたいです。

 大飯再稼働にしても法的手続きを踏んでいませんし、ストレステストも法的根拠はありません。ようやく原子力規制委員会が設置されることになりましたが、本来であれば政府が安全性を評価できる立法をして、これらを実施すべきだったと考えます。
 それが、政府として正式に原発の安全に責任を持ち、電力会社にその基準を守らせることになるからです。

(参考資料)
「『次は高浜』発言で関電首脳陣を再び批判 枝野経産相」(MSN産経ニュース)
 
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120727/plc12072711190005-n1.htm

「高浜再稼働で枝野氏と関電が舌戦」(gooニュース)
http://news.goo.ne.jp/topstories/politics/22/9f444bf89851542327e2f2fdacdca78e.html