今日は花粉症についてのお話です。


花粉症がひどい国は日本だけって知ってますか?



ぼくも数年前に発症しましたが、森林に携わる者にとって死活問題です。


花粉を大量に蓄えた杉を切るたびに、黄色い粉がモフモフと舞散ります。


花粉症の有病率は1998年は19.6%ほどでしたが、2008年が29.8%、2019年には42.5%と10年ごとに約10%増加していると報告されています。

2022年では軽微な症状も合わせた花粉症の患者は日本の人口に対して48%~62%いると言われていますが、世界でもここまで深刻なのは日本だけ。


海外でも牧草地を中心にブタクサによる花粉症例はありますが、社会問題化するほどではありません。日本で花粉症患者が増えた一番の理由、それは戦後の日本でスギやヒノキの木が大量に植林されたことです。


戦後の復興など建築の為に国が中心となって積極的にスギやヒノキの苗木を植林しました。


計画通り伐採されれば良かったのですが、以前書いた木材価格の下落や林業公社の解散により、多くのスギやヒノキが成木として残り、毎年春に大量のスギ花粉が飛散するようになってしまいました。



とある記事で見かけたものですが、現時点ではスギ林があまりにも広すぎて、全部伐採するには「300~500年かかる」との試算もあります。当然コストも莫大になるため、今あるスギの木を無くすというのは現実的ではありません。


というものです。


 

それは仮定として、「今の日本の林業のまま変わらなければ」だと思います。

広大な森林を持ちながら日本の林業は世界から遅れをとっています。

現在、林業先進国と言われているのはドイツ。



ちょっと比べてみました。
 


林業従事者数
日本 4.5万人    ドイツ 120万人

木材生産量
日本 3,114万m³  ドイツ 6,400万m³


まずは林業従事者と木材生産量の比較です。

日本の従事者が2倍になるだけで、林業先進国と言われるドイツの生産量に追いつきます。
というか、日本の1人当たりの生産量多いですね。



次に自給率と森林率です。


木材自給率(製紙・パルプ材除く)
日本 41.8%     ドイツ 100%

森林率
日本 68%        ドイツ 33%


日本とドイツの全体面積はほぼ同じですので、ドイツに比べ2倍の林業キャパシティを持っていると言えます。



つまり、今の林業従事者の4倍まで増やしても問題のない森林環境があると言うことです。



日本の林業の抱える収益面を改善し、魅力ある林業に変えて林業従事者の数を増やせれば、花粉を出すスギ・ヒノキの処理速度を現在の4倍まで伸ばすのは容易であるということです。



パナソニックの調べた結果では、2月中旬~4月中旬までの花粉シーズンで労働力の低下による経済損失は1日2215億円にもなると言われており、1シーズンの累計で13兆円を超える損失になるそうです。

また、2019年頃から医学界からも限られた医療財源の観点から花粉症薬を保険適用外の扱いにする動きもあるようです。


経済的な損失だけでなく、花粉症はアレルギーを抑える薬を使うなどの対処療法しかなく完治させることができません。


根本から花粉の飛沫量を減らす。


というのが花粉症の対策として1番有効なのではないでしょうか?



現在進行している大幅な円安は、低いとされる日本の木材自給率をあげ、さらに海外へ木材を輸出するという方向転換を考える時期として追い風です。


増えすぎたスギ・ヒノキを「間伐」により減らしながら収益性の高い森林へと整備し、林業を未来ある業種にすることで、林業人口を増やす。

荒廃した森林・花粉症、日本のかかえる2つの問題を「地球の守り人☆プロジェクト」で同時に解決したいと思います。