追憶のタマ伸也
バンドヒストリー
またまた今日も
長いぞぉ~!ながら
本日なんと第十三弾!

主な登場人物。

1 タマ伸也
  9弦ギターを掴まされ
  ギターに対し内向的に。
  ミーハーな傾向と裏腹に
  音楽的マニア自負するも
  単に節操無いとの評判も。
2 ソーマ
  兄の影響でエルビスや
  ツェッペリンといった
  オールドロック好き。 
  流行の音楽に懐疑的。
  かなりの頑固者。
3 ススタ
  常に学年トップの秀才。 
  ただロックはあまり知らず
  そこをつけ込まれメンバーに。
  典型的眼鏡君なルックス。
4 オック 
  メンバー中、最も思想的に
  ロックを捉えていた早熟少年。
  よってパラノイアな奇行多し。
  ロッキンオン愛読者。
5 クリーニング渡辺
  メンバー中唯一の女子生徒。
  どうやらオックが好きらしい
  との情報の元に勧誘する。
  実家クリーニングママ号。
6 原坊
  新任美人体育教師。
  普段着ている体育着は
  超ボイン故に男子生徒に
  好奇の眼差しを浴びる。


担任がさぁ
朝のホームルームで
おもむろに言うの。

みんなももう
分かってると思うけど
原先生なんだが今度…

結婚することになった。

う”ぇ~ッ!
お”ぉ~ッ!

ってものすごい
騒ぎになってさ。

したらさ
一斉にみんな
オレのこと
見る訳。もう
一斉にだよ。

オレもみんなと
一緒におぉ~!顔
してんのにさ
オレそのまんま
顔固まっちゃって。

んで担任が
続ける訳。

お相手の人も
みんなしってる
と思うけれど…

おーおー
知ってる知ってる
みたいに冷やかして
オレの顔を
わざと見るのよ。

んで担任が言う訳。

ゴホン…。
カワシマ先生だ。

ってこれでまたみんな
一同にえぇ~!なの。
ほぇ~!って。

ざわざわが
わざわざで
すごい訳。

津軽弁で
わんじゃめいてる
って言うかね。

カワシマ先生ってさ
これまた体育の先生でね
多分25歳くらいだったはずで
今で言う前田日明に似ててさ
しかもちょっとエッチだったりして
男子にも人気のあった先生でね。

その噂は随分前から
根強くあったんだけど
噂がオレへと移行して
すっかり消えてたのね。

んで担任、更に続ける訳。
その原先生なんだが
結婚を機に育児に専念する為
学校を休むことになる。
産休の為に来月から
学校を休みます。って言うの。

何か言ってる意味
租借するまでの間
し~んってなってね。

でも産休ってことは
子供産むから学校に
来ないってことでしょ?

ってし~ん明けに
もうワンテンション上がってね
そりゃもうクラス大騒ぎな訳。

要は出来ちゃった結婚だからさ
もうオレの噂なんかどこ吹く風
みんな原坊とカワシマで
話題モチきりになってね。

隣のクラスもその隣のクラスも
廊下越しにあっちゃこっちゃから
同じようなリアクションが聞こえてきて
朝からすんごいことになってるの。

ソーマとかススタなんかもさ
伸也(オレね)も大変だったけど
にしても原坊子供出来たのぉ~
うへへ~!みたいな感じなの。

オレはと言えばそんな
みんなの話題に乗っかっては
いるんだけど心ここにあらずで。

噂から解放された
ことなんかよりも
顔固まったまんま
笑っているっていうか
心底乗れないのね。

それはもちろん
原坊が結婚して
妊娠してるって
いう事実に対しても
そうなんだけれども

それよりも何よりも
来月から産休ってことは
文化祭の時には原坊は
居ないってことを
意味する訳だからさ
それがたまらなく悲しかった。

けれどもそんな自分を
回りに悟られまいと
わざとおどけたりする
自分がいた。

みんなに混じって
うへぇ~とか言いながら
俺は原坊の車に乗った
あの日のことを
思い出していた。

カーステのこと
達郎や元春の
カセットテープのこと
あの匂いのこと…

そして
レットイットビー
のことを…。

数学の授業が
始まった。

それでもまだみんな
ザワザワしていた。

窓の外を見ると
夏みたいな秋の日だった。

誰も居ないグランドの
白線がぼやけて見えた。

授業中
俺はずっと
滲む白線を
見ていた。

次の体育の授業の頃には
この白線は消えるだろう。

白線が消えるように
原坊との思い出も
消えてしまうのだろうか…。

…って
次回はいよいよ
文化祭な感じに
なっていく
訳だけれど…

って本日も残念ながら
ここで時間一杯。

次回いよいよ第14話!
クリスマス前にはなんとか…。