読書好きになったきっかけは
中学生の時に読んでいた月刊誌
「rock'n on」にある。

青森の片田舎にある本屋には
月一~二冊しか入荷されず
かといってすぐ売り切れる訳でもなく
いつもずっと売れ残ってて
毎月俺が買いに行くもんだから
いつしか本屋のおっちゃんが
僕のために取り置きしてくれるようになった。

今でこそ「rock'n on 」は
ロックフェスを主催するほどの
大メジャー雑誌だけれども
当時はそんな感じだった。

内容は何人かのライターがいて
新譜や好きなアーティストのレビューを
それぞれが書くといった構成だった。

もともと同人誌から始まった雑誌なので
当時はまだカタギの投稿者の原稿も載ったりしてた。
(今もそうなのかしら?)

僕も一回投稿したことがあるけど
もちろん掲載はされなくて
俺って文才ないんだなぁって
しみじみ落ち込んだこともある。

そのライターの中で一番読みやすくて面白かったのが
今日紹介する著者の松村雄策さんだった。

ネタの中で圧倒的に多かったのがビートルズ(ソロ含む)についてで
以外にはレイ・ディヴスやニック・ロウ
エリック・バードンやピート・ハム
ブライエン・ウィルソンや早川義夫のことetc

音楽以外のネタも多く
プロレス、とりわけA・猪木のことや
ピートたけしさんのこと
立川談志師匠のこと
内田百間(←字が違う)や
山口瞳のことetc

青森の片田舎で中学生の僕は
毎月雑誌を読むたびに
片っ端から聞き読み漁った。

今にして思うと
1982年に青森の片田舎で
ジャックスを聞く中学生って
ちょっと薄気味悪い。

だってクラスの話題はいつも
たのきんに聖子ちゃんだったからね。

多感な中学生の頃に出会った音楽は
今この年齢になっても全く変わっていない。

なので僕の音楽の嗜好性と
ある意味での根本的な性格は
松村雄策さんに決定付けられた
と言っても過言ではない。

今書いているこの文体や言い回しも
明らかに松村さんの影響である。

昔の僕の夢は
一枚のレコードと一冊の本を出すことで
それも完全に松村さんの真似であった。

松村さんの著作はそれほど多くはなく
もちろん全て持っていて
上京したてのころ松村さんのサイン会があり
池袋の三省堂に行ったこともある。

僕が今、実際に貰ったものとして
大切にしているサインは
細野晴臣さんとビーチ・ボーイズ
ハルク・ホーガンはどっかにいっちゃって
マーティン・ニューエルは人にあげちゃったので
あとは松村雄策さんだけだ。

それから編集長だった渋谷陽一さんとの
「渋松対談」が楽しみだった。

掛け合い漫才の体をしてたけど
掛け合い漫才のお笑い的な感じというよりは
ジョンとポールやミックとキースのような
付き合いの長い二人がする会話的な
ユルい面白さが好きだった。

前置きが長くなったけれど
僕が本を読むようになったのは
松村雄策さんに出会ったからに他ならない。

今日紹介する本は
松村雄策さん著作
「ウィズ・ザ・ビートルズ」

読者にはお馴染みの
松村さん自身のエピソードも多数
「ビートルズレコーディングセッション」
と合わせて読むと面白さ倍増する本
となっています。

僕が多感な時期に松村さんに出会ったように
松村さんは多感な時期にビートルズに出会った。

ビートルズのアルバム解説と共に
リアルタイムでビートルズに出会った人の時代を
追体験してみては如何でしょうか。