第1問です。問題文は長いです。大学初年度のテキストで取り扱われる内容の予習的な出題です。
問1 ScとYとLa元素を合わせて,(g)レアアース((d)希土類)といい
ます。ネオジム磁石のネオジムNdはランタノイドです。ちなみに,
超ウラン元素はウランよりも重い元素です。また,ウラン,プル
トニウムはアクチノイド元素です。
教科書(東京書籍)の記述を見てみましょう。
「第4周期のScと第5周期のY,第6周期のランタノイドは,
特にレアアースまたは希土類と呼ばれる。その理由は,
レアアースは,カルシウムなどの第2族の隣に位置する
ことから,陽性が強く(3価の陽イオン)反応しやすい金属
で,イオン半径などもほぼ同じで化学的な性質が互いに
よく似ているため,それぞれの成分元素に分けることが
極めて難しいからである。かつては,わずかな溶解度の
違いを利用して再結晶し,そして何千回もの操作を繰り
返して単元素の分離を行っていた。しかし,今では溶媒
抽出による精製法が主流である。」
問2 原子・イオンの大きさは,最外殻の電子の位置で評価している
ので,陰イオンは中性原子より大きく,陽イオンは中性原子より
小さくなります。(b)
問3 電子配置が同じ原子・イオン同士なら,原子核の正電荷が
多いほど,電子を引きつける力が大きくなって,大きさは小さく
なります。O(2-)>F(-)>Na(+)>Mg(2+)です。
問4 瞬間的な電子分布の偏りが大きい=軟らかい としている
ので,(a)です。硫化物イオンの方が酸化物イオンより大きいので,
最外殻電子の分布を球状に保持しにくいということです。
ちなみに,大学初年次のテキストでは,HSAB理論が出てくる
ことがあります。Hard and Soft Acids and Basesの頭文字で,
酸・塩基を硬い,軟らかいで表現します。例えば,
硬い酸 水素イオン,ナトリウムイオン,カルシウムイオンなど
軟らかい酸 銀イオン,カドミウムイオンなど
硬い塩基 水,ヒドロキシイオン,硝酸イオンなど
軟らかい塩基 ヨウ化物イオン,ヒドリドイオンなど
と分類表が載っています。
HSAB理論の言うところをかいつまんでみると,
① 硬い酸と硬い塩基はイオン結合性が強い。
② 軟らかい酸と軟らかい塩基は共有結合性が強い
③ 硬い酸と軟らかい塩基,軟らかい酸と硬い塩基の相互
作用は弱い
ということです。
問5 水分子は極性が大きいので,電荷の偏りが大きい分子と親和
性があり,溶解度も大きくなることを説明すればよいでしょう。
問6 上の硬い・軟らかいにもありますが,銀イオンもヨウ化物イオン
も第5周期で大きいイオンなので、軟らかいイオンで互いに親和
性があることを説明すればよいでしょう。
問7 イタイイタイ病(Itai-Itai disease)は,神岡鉱山から産出していた
亜鉛鉱石に混ざっていたカドミウムを鉱廃水として排出したことが
原因と言われています。