北大物理2019を見ていきましょう。大問で3題。後半に少し難度の高い設問があるものの,75分で解き切ることができる分量難度です。

 

 図を入れる場合もありますが,作図ソフトに慣れるまでは,手書きの図でご容赦ください。

 

 

 

 

 問1です。教科書通りの出題です。運動の問題は,運動方程式を解いて,ある時間における物体の変位を求めることが主題なのですが,数Ⅲで学ぶような微分方程式をいちいち立てて解くのではなく,運動方程式を積分した後の式を法則として使います。すなわち,エネルギーと仕事の関係運動量と力積の関係を用います。

 

 

 物体がA→Bと運動するとき,物体に働く力は,重力(保存力)と,垂直抗力ですが,物体の運動に沿って垂直に働く力は,仕事をしないので,力学的エネルギー保存則を使いましょう。Bにおける速さをvbとして,

 

                 

 

 

(2)では,垂直抗力をNとし,円運動の運動方程式(中心方向)は,

 

         

 

 

 続いて問2です。

 

 いわゆる2体問題です。類題経験のある方は,運動量保存則と力学的エネルギー保存則を連立させて解くことはご存知でしょう。

 

 (3)はx方向の運動量保存の式,(4)は力学的エネルギー保存の式ですから,それぞれ,

                

となります。

 

 これをv,Vについて解くと,

 

               

がえられます。

 

 

 (7)と(あ)ですが,台がx負方向に動くのは明らかでしょう。V<0であることからもわかります。

 

 台がどれだけ動くかは,等加速度運動ではないので,加速度と時間から求める話にはなりません。

 

 二物体の重心の位置(x成分)が変わらないことに注目して求めます。

運動前の二物体の重心(x成分)XGは、台の重心がx=0であることから,

 

          

 

となり,二つの物体には,水平方向の外力が働かないことから,運動後の重心も同じ位置XGにあることになります。

 

 よって,台は(mR)/(M+m)だけx軸の負方向(イ)に移動します。

 

 

 

 問3です。解答すべきは4か所です。

 

 

 よくある問題設定です。ということは,確実に計算できなければなりません。

 最高到達点における,x方向の運動量保存の法則より,

 

                 

 

運動開始時と最高到達点における力学的エネルギー保存則より,

 

               

 

 

また,最高到達点では,v1=V1より

 

                    

よって,hは,

 

     

 

 

となります。

 

 (11)ですが,物体が最高点Cまで達するということは,h≧Rであればよいのですが,h=Rで計算してそのときのv0以上であればよいので,Bを通過するときの速さをvB,小物体が最高点Rに到達したときのそれぞれの速さをv1,V1とすると,同様の式が成り立ち,

 

      

と,

                 

 

より,

 

               

 

                   

となって,

 

                                           

 

を用いると,

                   

 

                         

 

が得られます。このv0が,小物体がちょうどCに到達するときの値になるので,v0がこの値以上であれば,最上点Cに到達することになります。

 

 

 この問題設定は,毎年どこかの入試でみかけるもので,演習を積んでいる受験生なら,経験している問題です。

 

 いかに速く,正確に完答することができるかというスピード勝負の問題ともいえます。