梅雨が明けて、暑い夏となりました。

今日もうんざりするほどの暑い1日でしたね。

今日は悲しい出来事を思い出しました。



昨年父が亡くなりました。

倒れたのは一年前の今日になります。

前日は娘のピアノの発表会でした。

私は2ヶ月振りに父に会いました。

父は孫のピアノを弾く晴れ姿にとても満足して、笑顔で手を振って帰って行きました。

私は「元気そうで良かった」と、父の後ろ姿を見送りました。

翌日、私は義父の初盆のお寺参りに出掛けました。

帰り際に私の電話が突然鳴ったのです。

発信元は母でした。

何だろう?と電話に出ると...

「お父さんが倒れた。心臓マッサージしてる」

母の慌てて動揺した声が聞こえました。

母の言葉は私の耳に入ったけど、その言葉の意味が一瞬理解出来なかった。

えっ?お父さんが倒れて心マしてるって、どういうこと?

父は蜂に刺されたのだという。

私はすぐに病院に向かいました。



父は母と二人でお墓の掃除に行き、父は家のお墓のそばに生えていた草を取っていたそうです。

母は水場で洗いものをしていました。

すると父の「痛っ」という声を聞いたのだとか。

それが父の最後に発した声になってしまった。

母は遠くで父が膝から崩れ落ちるのをみました。

母が駆け寄った時には意識もなくなっていて、口角から流涎していました。

母は何がなんだか、何が起こったのかよく分からず、

お墓にいた何人かの年配の方々が父を日陰に運んでくれたそうです。

でもそれ以上のことは出来ず、見守ることしか出来なかった。

呼んだはずの救急車はなかなかこない。

遅れて到着した救急車に、父は蘇生させられながら運ばれていきました。

そして....

今、父は天国にいます。




父は蜂によるアナフィラキシーショックでした。

父が蜂に刺されたのは2回目だったのです。

蜂のアレルギー体質だったところに刺されたため、重症化してしまったのです。

心停止するほどのショックを起こしてしまいました。

搬送先の病院で蘇生出来たものの、低酸素脳症となってしまいました。

そして4ヶ月を意識もないまま入院生活を送り、肺炎を起こして父は亡くなりました。

後になって確認したところ、父が倒れていた場所から少し離れたところに小さな蜂の巣がありました。

刺されたのはアシナガバチだったようです。

実は父は倒れた年の1年程前にも蜂に刺されていました。

家の軒下にあった蜂の巣を駆除しようとして刺されてしまった。

当時は蜂に刺された直後は痛みだけだったそうです。

でも少し時間が経ってから少し意識がぼんやりしていたと、後になって聞きました。

母が心配して受診をするように促したそうです。

でも父はしばらくすると回復し「良くなったから大丈夫だ」と、病院には行きませんでした。


昨年、父が倒れる少し前です。

私は勤務先のクリニックで、「蜂のアレルギーで病院に運ばれた」と話す患者さんに会いました。

その時に、そういえば私の父も蜂のアレルギーだったなと思ったのですが...

今思えば、父に強く受診を勧めれば良かった。

その時には受診しなかったとしても、後からでもきちんと受診をして、蜂毒の抗体検査によりアレルギーの有無を調べるべきでした。

アレルギーの確認をしていれば、エピペン(アドレナリン自己注射)を処方してもらえるはず。

また蜂に刺されたとしても、適切な対処が出来ていたかもしれないのに。

蜂に刺されてしまったことを聞いていたのに、何でそう言わなかったんだろう。

父に起こりうることを想像出来なかった。

看護師をしている娘の私は何の役にも立たなかった。

知識があっても行動に移さなければ何もならないと、後悔が募ります。




今年の暑い夏にも、きっとまた蜂による被害が出るのだと思います。

たった一匹の蜂で誰かの命が奪われることがありませんように。

蜂の巣の駆除用のスプレーなどが市販されていますが、決して自分で駆除しようとしてはいけません。

もしも蜂に刺されてしまったら、症状の程度や有無にかかわらず、必ず受診をしてほしいと思います。



明日はお寺で行われる、父の初盆のお参りに行きます。

あの日からもう1年が経つんだな。

父のいないのは未だに不思議で寂しいなと感じます。

でも日常は穏やかに過ぎています。

お父さん、今は天国で何をしてるのかな。

また明日、会いに行くから待っててね照れ