押入れの奥を整理していたら昔の写真が出てきたっていうこと、たまに聞く。

そんなありきたりなシチュエーションが自分にも起こった。


どうやらアルバムに入りきらなくて、本の間に紛れ込んでしまった写真はちょっとヨレていて、埃っぽくて、少しだけ色褪せていた。


思い出が多すぎて残しておくには辛い、処分した筈の昔の写真がなんの悪戯かこうやって今の自分の手元にある。

忘れてしまっていた訳じゃない、思い出すと胸の辺りがチクチクしたような痛みが甦る。

あの時どうして自分は踏みとどまらなかったのか、待っていなかったのか、今になって無意味に責めてしまう。この写真がひょっこり手元に戻ってきた途端に、どうして、どうしてと後悔ばかりが甦ってくる。

今になって考えたってしょうがない。そんなことわかっているけど、どうしようもないほど後悔の念が甦る。

その写真の中の2人は笑って頬を寄せていた。幸せそうに笑っていた。写真なんていらないと言っていた自分に、絶対良い思い出になるからと言われ、半ば無理やり撮らされた写真。10年以上経った今でもその時のことはよく覚えている。


ね、良い思い出になるから・・・


笑っていた時は過ぎ、今はどうだろう。

過去から現実に逃げていた自分、少し紐解いてみてもいい頃かもしれないな。


体の芯が熱くなり、胸はチクチク痛かった。


今、目の前に一本の蜘蛛の糸が垂れてきました

夜が明ける前にこの糸に触れてみようと思います
揺らさないように、切れてしまわないように、一本しかないこの糸を手繰り寄せてみる


『写真の中の彼女は今、幸せだろうか…』