サランコットの彼女の働く茶屋へ3年ぶりに戻ると、改築中だったレストランが完成していた。
右の建物がもともとの茶屋。
左の黄色い建物が新しく建てたオープンレストラン。
レストランの屋上からは、レイクサイドのフェワ湖が見渡せる。
黄色と黄緑を色調とした外壁。
メニューのポスターは、私がポカラで作りました。
レストランの地下にキッチン。
そしてレストランの看板娘は、もちろん彼女!
以前は長女と二人で切り盛りしていたが、長女が出産したので、今はサムジャナ一人で働いている。
観光客にも評判で、彼女目当てで来る常連客もいるほどだ。
実際、彼女を取り上げた旅行記を見たこともあるし、ちょうど彼女に会いに来た初老の日本人観光客にも出会ったこともある。
自分の彼女が近所や観光客から信頼されているのは誇らしい気分でもある。
しかしその一方で不安でもあるのだ。
本当に結婚できるのだろうかと。
近所からは「サムジャナの店」と思われるほど、彼女一人がここで働いている。
長女は結婚をし、次女はパラグライダーに転職。
母親は農業で忙しく、父親は数年前に他界。
長男は学生で、四女もポカラで寮生活。
サムジャナを手伝う人は誰もいない。
彼女がいないとこの店が回らないことは明白なのだ。
この3年間で事情は変わっていない。
その状況で俺と結婚して日本に連れていくことが可能なのか。
ネパールへ戻る前に彼女に結婚について話すが、あやふやな返事しか戻ってこない。
正直、再会を果たした時には結婚に関してはお互い触れないようにしていた。
2週間くらいは今までの空白を埋めるだけの日常を過ごした。
しかし俺はただ遊びに来るためにここへ来たわけではない。
仕事を辞めて背水の陣でネパールへ戻ったのだ。
もう後戻りは出来ない。
俺は彼女に3年ぶりのプロポーズをした。
結婚して日本で暮らそうと。
しかし二度目のプロポーズに対して、彼女の返事は以前とは違っていた。