12月24日(土)晴れ


決戦の朝です。
パラリンピックの出場枠を掛けた本当に本当に大切な戦いとなります。

選手達も朝食後の選手ミーティングで、最後の確認と気持ちをしっかりつなげ、出発のロビーに集まってきた選手達の表情はキリッとした、戦う男たちの表情となっていました。


11時ホテルを出発。
会場に到着すると、横断幕を掲げたサポーターの皆さんが待っていてくれ、熱いコールで出迎えてくれました。


12時よりアップを開始。
ストレッチやジョグで身体をしっかりと上げ、それぞれボールを使って自分のやりたい練習をやりながら今日の感触を確かめ、心の集中を高めています。


1試合目が時間通りに進んだようで、
13時30分、アップに飛び出していきました。
シュートをどんどん打っていきます。
最初は堅さがあったのか、空振場面もありましたが、打つほど選手達のミート率も上がっていき連続でゴールが決まり始めると、準備も万端といった様子です。


14時、キックオフ…
ドリブルで仕掛けてくるイランの選手に、
FWとMFが当たります。
2人目のMFが寄せており、そのこぼれ弾をクリアしたり、抜かれても次の壁として連携します。
DFは全体に声を掛けバランスを取りながら、最後のシュートコースを切り、突っ込まれた場面では危険なエリアからボールをかき出します。

このようなディフェンス場面から得たボールをFW・MFがドリブルで攻め上がり、3~4枚で堅牢に守備をするイラン陣を、ディフェンスの間から、壁から中への大きな動きから、突破していこうとします。CKもたくさん続き、日本のチャンスも続きます。
しかし、わずかなずれ、ポスト、GKに阻まれます。

選手達は懸命に走り、声をつないで戦い続けましたが、緊張状態が続き、足が一瞬止まったその隙をイランの選手は見逃しませんでした。


日本 0-2 イラン


日本は得点をするべく、さらに激しくプレイをし続けましたが、時間が無常に過ぎていきます。


試合終了15秒前…
イランのファールにより得た、第2PKに葭原選手が投入されます。
会場がシーンとなり、魚住コーチのポストを叩く音だけが響きます。
そして、「よしっ」と葭原選手の気合の声。
ボールは左へ反れていってしまいました。


最後の15秒まで選手達は走り続けましたが、終了のホイッスルが鳴り響き、日本のパラリンピック出場がなくなってしまいました。


選手達はそれぞれが責任を感じ、悔し涙を流し、唇をかみ締めていました。

ピッチを離れる前、大声援を送ってくれた観客の皆さんに、一列に並んであいさつをしました。

そのままつぶれたい気持ちを抱えつつ、明日の3位決定戦に向け、もくもくとダウンをしました。


ホテルへ帰るバスの中は本当に沈みきり、掛けることばも見つからない状態でしたが、お風呂に入り、おいしいご飯を食べ、選手達は気持ちを切り替えていったようです。


夕食後のミーティングでは、「明日のやりたいプレイ、目標」について一人一人話をしました。選手達は自分達がやってきたことを最後まで出し切ろうとしています。

コーチ陣からは、「この4年間、このチームでたくさん走り、このチームでたくさん考え、このチームでやってきたことは絶対に間違っていない。最後までやりきろう」「次のリオ・パラに向けた第1日という気持ちで戦おう」等の話があり、チームで気持ちを一つにしました。


選手達も早めに就寝。


明日の戦いは、日本のブラインドサッカーの新しい第1歩の始まりの試合となります。
笑顔でその時を迎えることができるよう、選手達は最後まで走り、考え、プレイをしようとしています。

最大級の応援を、選手達へどうぞお願いします。