たまたまでしょうが、同じ時期に同じ趣向の映画がwowowで放送されたので、併せてレビューしたいと思います。
どちらも昨年公開で、注目しながらも観に行けなかった作品です。
「シーフォーミー」
面白いと言う評判を事前に聞いていながら、イマイチ観る気にならなかったのが「シーフォーミー」です。
理由は、設定がすでに以前観た映画「見えない目撃者」に似ていたからです。
盲目の主人公が、スマホのアプリによる音声案内に頼って、悪人による追跡から逃れるというもの。
これだけで大体どう言う映画か、想像できるじゃないですか。
実際観てみたら、予想を良い意味で裏切りまくる展開で、かなり面白かったです。
盲目の女性が、留守中の猫の世話をするバイト(盲目の人に頼むか?とは思いますが)で、お金持ちの家でお留守番をしていると、ちょうどそこに泥棒一味がやってくる、というお話。
盲目版ホームアローンっぽい感じで、そんなに怖い内容だと思わないじゃないですか。
実際、泥棒一味も純粋にお金が欲しいだけなので、血生臭い感じではないのです。
ところが!
どんどんと悪化していく事態により、死体がバンバン増えていく展開へとなっていくのです。
「屋敷女」を思い出しました。
もちろん、あれほど残忍な描写はありませんが、助けを求めた警察が事態を悪化させていく感じとか、「そうなるのか!」という意外な展開が面白いのです。
シナリオが非常に良く出来ていますね。
そして主人公の設定です。
彼女が果たして何を考えているのか、こちらは理解できない作りになっているのです。
何をしでかすか分からない、主人公自体が危険物であるという点も、スリリングさを高めています。
残念なのは、こういう設定だからある程度仕方ないのかもしれませんが、暗い場面が多く、何が起こっているのか分からない場面が少なくない点です。
特にクライマックスは分かりにくかった!
また、肝心のアプリ「シーフォーミー」を活かせないため、余計に盛り上がらないのです。
あえてそうしたのでしょうが、もう少し上手く見せて欲しかったですね。
アプリを通して彼女をサポートするのがゲーマーというのも面白設定だっただけに。
「ダークグラス」
「シーフォーミー」が新進気鋭の監督によるものだったのに対し、こちらは大ベテラン、ダリオ・アルジェント監督による作品です。
主人公はやっぱり女性なのですが、こちらはいわゆるコールガールです。
娼婦ばかり襲う殺人鬼の標的になってしまった彼女は、襲われる中で交通事故を起こしてしまい盲目に。
その事故で衝突した車には家族が乗っており、父親は死亡、母親は昏睡状態、子供だけが軽傷で助かる。
主人公は少年のいる施設に向かうが、ひょんな事から一緒に暮らすはめに。
しかし、殺人鬼の魔の手はそんな彼女にも容赦なく襲いかかるのであった・・・。
本作の主人公の設定も非常に個性的です。
気の強いコールガールで、盲目になる前からグラサンもキマってます。
彼女が盲目になる場面は痛切ですが、それでもすぐに仕事を再開するのがカッコ良い。
そんな彼女と少年との交流も面白く、ホラーであるのを忘れてしまいます。
やっぱりこの監督は、ビジュアルと音楽が非常に素晴らしい。
そこだけは本当に文句ナシ。
ただし、展開はあまりにも強引です。
そうはならんだろ!と突っ込む所が渋滞しています。
「いいだろ、見せたいものがあるんだから!さっさと次に行こう!」
そんな監督の言葉が聞こえてきそうでした。
犯人については、あまり考えないでください。
見せたいのは、主人公のセクシーでカッコ良いところ。
突然川の中で蛇に襲われるシーンがあるのですが、まったく意味がありません。
でも、見せたかった大事なシーンなんでしょうね!
もうちょっとダラダラした感じの、老人ホラーかと思いきや。
シンプルに最後まで楽しめました!
ホラー部分より、人情ドラマの部分が地味に良かったです。
主人公のお得意様のオヤジが良いヤツで、気前よくお金を払ってくれるのですが、あれは監督の投影なのでしょうか。
スケベだけど誠実に生きたい。
今話題のあの人(ヒント:レイプ魔)とは大違いです。