今、最もプロフェッショナルという言葉の似合う人は誰でしょう。

それはもちろん、ハシカンこと橋本環奈さんです。

千年に一度の美少女と謳われた彼女も、今や千年女優。

来る仕事は拒まず。

それがどんな内容であろうが、依頼されたら応じるのみのスタンスは、現代のサムライと言えるでしょう。

 

何より、その強靭なメンタルです。

出演した作品が信じられないほど駄作で、公的なサンドバッグとして老人も中年も少年少女も赤ちゃんも、なんなら犬猫にさえ罵倒されても構わない。

出演した作品が信じられないほど大コケして、公開されている劇場がもっとも人のいない場所として、不倫カップルの逢引や特殊詐欺グループの密談が行われていても構わない。

公開された映画はもう、自分には関係ない。

そんな、木枯らし紋次郎の様なクールさを持っているのです。

 

もう一人のプロフェッショナルと言えば、中田秀夫監督です。

「リングの一発屋」、「逆転しないイッパツマン」と呼ばれる彼ですが、どれだけ駄作を量産しても、どれだけ映画が大コケしても、ちゃんと次々と仕事が来るのです。

映画で長く飯を食う秘訣は、クライアントの要望には100%応え、観客の要望には1ミリも応えない事なのだ、と言わんばかりの快進撃。

 

面白くしようとするからダメなんだ!

気持ちの良い現場でみんながダラダラしている内に、いつも間にか出来上がっているくらいがちょうど良い。

酷いくらいが話題になるので、適当な気持ちが一番大事。

そんな有り難いメッセージが、お金を払ってつらい時間を過ごす観客にはビンビン伝わるのです。

 

こんな2人がタッグを組んだウルトラ話題作、それが「禁じられた遊び」です。

ふざけたタイトルじゃないですか。

この映画の製作自体が「禁じられた遊び」だからです。

お前ら、これでも映画を観たいか!

お金を払って劇場に来るのか!

そんな映画好きへの挑戦状とも言える、暴挙でしょう。

 

ところが公開されてみると、一部では高評価をする人もいます。

「ミンナのウタ」が面白かったので、もしかして。

劇場公開時には、本当に観に行こうと思ったのは事実です。

もちろん、これは気の迷いだったのですが。

 

最近、アマプラで無料配信されていたので観てみました。

なんと、「それがいる森」より面白かったです。

いや、あれよりは全然面白かった!

あれよりは、ですが。

 

当然、怖くはありません。

それは誰も期待していないでしょう。

でも、しっかり笑えます。

なんだ、まあまあ楽しいじゃんか!

 

まず、ハシカンの全力演技です。

恐怖におびえるシーンでの、全力の変顔は必見で、マニアにはたまらないはずです。

あと、煙草を喫おうとするシーンが何度も出てくるのですが、絶対に喫いません。

これは事務所NGなのでしょうね。

喫うのか?いや喫わない。

今度こそは?やっぱり喫わない。

あなたの観た際には、もしかしたら喫うかもしれませんので、是非ご注目いただきたいです。

 

まあ、ハシカンはいつもの安定のハシカンです。

彼女はやれる事(変顔)しかやりません。

サムライなので。

でも、この映画の注目ポイントは、化け物役に挑戦したファーストサマーウイカです。

彼女は天才です。

大変な逸材です。

 

本当かよ!

ユースケ・サンタマリアみたいな名前のくせに!

そんな風に思う人は多いでしょう。

観たらビックリしますよ!

時には美人。

時にはメンヘラ。

しかしてその実態は・・・。

日本のマリリン・マンソンでした!

 

実際、彼女はメイクでガラリと印象が変わる顔立ちだし、演技も上手いのです。

テレビの印象とは全然違うので、言われないと気付かない人も多いと思います。

そして、渾身のマンソン・コスプレ!

まるで新春かくし芸大会(昔のお正月番組)の様な華やかさと楽しさですので、お正月にはピッタリでしょう。

 

 

あと、ちょっとだけ真面目に魅力を語ると、この作品にはミステリー的なオチがあります。

荒唐無稽な内容なので何でもアリなんだ、と思っていると、実はちゃんとしたある法則がある。

終盤は一気にそこが明かされて、なかなか面白い展開へとなっていきます。

ウ~ン、なるほど。

イサーク・エズバン監督の「ダークレイン」を思い出しました。

途中で寝なかった人への、ちょっとしたご褒美でしょうかね。