あけましておめでとうございます・・・とも言えない、波乱の幕開けとなった新年になってしまいました。
これからも、この国には恐ろしい事がまだまだ起きる。
そんな気がします。
良い年にするどころか、生き残れるかどうかといったところでしょう。
今回ご紹介する映画も恐ろしい映画・・・ではありますが、その恐ろしさは娯楽としてのものに過ぎません。
愛すべき誠実な男、イーライ・ロス監督による、楽しいホラー映画です。
17年も前に作ったフェイク予告映画「感謝祭(サンクスギビング)」の本編を、なぜか今頃完成させたのでした。
いつか必ず本当に作りたい、という気持ちはずっとあったのでしょう。
そのタイミングが今だったのでしょうが・・・。
真面目な男ですよね。
映画を観てからこのフェイク予告を観ましたが、おおむね再現されているのです。
この予告の内容を覚えていた人間がどれだけいたのか・・・。
まあ、多少マイルドにはなっていますが(R指定なのだからガッチリやっても良かったとは思いますが)、やっぱり誠実な男だと思います。
ただし、本作の一番の見所は、この予告にはありません。
冒頭の、ブラックフライデーのセールに押し寄せるお客様のパニックによる惨劇シーン!
ここのバカバカしさ&恐ろしさは物凄いインパクトです。
日本でも、異常に人が集まってしまった結果大変な事故が起きてしまった事がありました。
決して絵空事ではない悲劇なのですが、これを完全に「絵空事」としてアホらしく描写してくれるのが、イーライ・ロスの優しさです。
先着でもらえるワッフル焼き機が欲しい!と集まる人間どもを完全にゾンビの様に描き、先にお店に入ってしまった若者達に怒りをスパークさせるゾンビどもが、遂に暴動を起こす下らなさ!
こういうのが観たかった!
このシーン、あくまで本編のきっかけを描く前日譚なのですが、正直本編が始まったらテンションが落ちてしまいました。
あれだけで映画一本やっても良かったのでは?
その後は割と普通のスラッシャー映画になってしまうのです。
まあしかし、思いきり安いタイプのホラーを堂々とやっているので気持ちが良いです。
最近では「ジャンプスケア」と呼ばれる、ただ観客を音等で驚かすための安い演出を、ジャンジャンやっています、
普通に何度もビックリしましたよ!
割とどうでも良い「犯人は誰か?」要素もあります。
本当に誰でも良いし、ここでは誰も驚かないでしょう。
この映画が一味違うのは、実はまあまあお金があるところです。
そのため、本物の低予算映画では出来ないシーンがたくさんあります。
先ほどの暴動シーンもそうですが、パレードの中での惨劇(フェイク予告でもあった)等の大規模なシーンが特にそうです。
こういうのがやりたいけど、お金が無いと無理だよね。
でも、今はやれちゃうもんね!
そんな感じが伝わって来て、微笑ましいのです。
R指定という事で、過激なものを期待してきた人には、少々物足りないかもしれません。
特に、フェイク予告を何度も観てきたマニアなんかには。
やっぱり17年前の、とがった頃の彼とは変わってしまった部分もあるのでしょう。
それでもこういう映画を今でも撮るし、それがヒットすれば大喜びで続編も作る無邪気な彼はやっぱり偉い!
ここ最近の、新しいタイプのホラー映画も面白いものが多いですが、こういうファニーなオールドスクール・スラッシャーも楽しいです。
当然、次回作にも期待したいですね。
頑張れ!