結構前から期待していた映画でしたが・・・。

やっぱり評判というのは、話半分に聞いておかないとなりませんね。

前情報ではかなり過激でエグい映画と聞いていましたが、別にそんな事無かったです。

 

序盤はかなり期待させますし、実際面白いのです。

主人公のキャラクターが良く、常に自分のターンでないと気が済まない「自己中」女なのですが、憎めない愛らしさもあります。

彼女の彼氏がアーティスト(芸術家)なのですが、彼に注目が集まるのが気に入らず、嘘を言ってでも目立とうとする序盤のシーンとか、最高です。

 

そんな彼女がある日職場のカフェで、犬に噛まれた人をたまたま抱きかかえた事で注目されるという事が起きます。

「私以外は誰も助けなかった!」

「私のおかげで噛まれた人は助かった!」

実際は抱きかかえただけで何もしていないのですが、このように言ってまた注目を集めるのです。

 

わざわざ血だらけの服で歩いて自宅に帰る事で、「あなた大丈夫?」と心配されるのを楽しんだりします。

もっと注目を集めたい。

みんなに心配されたい。

そこで彼女が行ったのは、副作用で顔面が崩壊する違法薬物をわざわざウルトラ過剰摂取するという荒業でした・・・。

 

この辺までは、この映画の予告でも分かっている部分で、確かにそのまま面白いのです。

さて、これからどうなるのか・・・。

とんでもない大騒動を起こすのか?

おぞましい姿になった彼女に震撼するのか・・・。

いずれにしても、かなりの衝撃を期待していました。

 

結局面白かったのはここまででした。

本当に驚くほど、ここからちっとも盛り上がっていかないのです。

彼女が障害者モデルとしてさらに活躍していく展開は、色々と皮肉が効いていて面白いとは思うのですが・・・。

 

アイデアはかなり良かったし、役者もすごくピッタリだったのに、それを活かした面白いシーンがいつまで経っても登場しないのが勿体ないのです。

完全にブラック・コメディーとして作られているのだから、映画ならではの過剰や誇張した、面白くも酷すぎるシーンをジャンジャンやれば良かったのに。

 

(以下、妄想展開です)

薬の影響で化け物みたいになった彼女が助けを求めると、人々が死ぬほど驚いで逃げ出し、警察が発砲!

町は阿鼻叫喚の地獄絵図に。

そして、そんな大事件は後にホラー映画化され、大ヒット!

隔離病棟の水槽の中で、彼女は得意げに言うのです。

エンドクレジットのスペシャル・サンクスに、私の名前があるわ・・・。

 

実際、この映画でも妄想シーンが頻発するようになります。

彼女が薬の影響なのか、妄想と現実が交錯していくからです。

彼女の願望が妄想として描かれるのも良いアイデアです。

本当は彼女が何を一番望んでいたのか。

ここで彼女の内面が明らかになれば、感動的な展開にも出来たと思います。

 

それが。

まさか途中で眠くなるとは思いませんでした。

本当に惜しい・・・残念です。

 

ところで、こんな映画前にも観たな?と思いました。

「PITY ある不幸な男」です。

こちらの主人公は、不幸中毒。

奥さんが事故で昏睡状態になってしまい、周りの人々から同情を受けます。

ところが、奥さんは無事回復してしまいます。

あの不幸な状態が忘れられない・・・。

どうすればまた、人々に同情される気の毒な男に戻れるのか。

 

 

よくもまあ、こんな意地悪な映画を作れるなと感心しましたね。

この映画もブラック・コメディーですが、非常に地味で脱力的なシーンの連続です。

こちらも眠くなってしまう部分がありますが、終盤は一気に盛り上がり、おぞましい結末を迎えます。

 

 

こちらは逆に、派手な結末にしない方が良かったと思いました。

多分オチ先行なのだと思いますが、もっとしょうもない、脱力系のオチの方がふさわしかったと思います。

「シック・オブ・マイセルフ」で不完全燃焼になった方は、是非こちらをお試しください。

しっかり胸糞ですので。