東京初期衝動(バンド)のライブを観に東京へ行った際に、友人の付き合いで観てきました。

特に観る予定の無かった映画でしたが、これが、破格の面白さ!

日本のドキュメンタリーはあまり観ないので比較が出来ませんが、相当面白かったと言えます。

 

ラッパーのダースレイダーと時事芸人のプチ鹿島による、時事ネタYouTube番組「ヒルカラナンデス」の劇場版ということです。

この番組の存在は知っていたし、少し観た事はありますが、まあかなり対象の限られた劇場作品だと思います。

基本は番組の視聴者だけでしょう。

内輪で盛り上がるタイプの、部外者お断り映画であると予想されます。

 

ところが、これが抜群にエンターテイメント性の高い、単体として完成された作品でした。

マイケル・ムーア監督(ハリセンボン春菜のそっくりさん)の作品を思い出しました。

つまり、突撃取材とユーモアです。

良い意味でバラエティー番組的なので、楽しんで観る事が出来ます。

 

個人的に、テレビ等のメディアにおける政治の話題になると、猛烈な憤りや吐き気を催す不快を感じる事が多く、正直冷静に観る事が出来るか不安でした。

与党も野党も詐欺師、山師の大集合で、デマを平気で流すメディアと一体となって国民を騙し、日々税金と賄賂の掴み取り合戦です。

映画でもこんな不快な思いをしたくない、という方も多いでしょう。

 

しかし、この映画ではそれぞれの政党の政策等にはほとんど触れず、あくまでイベントとしての選挙と、その候補者にのみ照準を合わせています。

特定の政党を支持したり攻撃したりする事は一切無いため、支持する政党に係わらず誰にでも楽しめる映画となっています。

 

この映画に登場する政治家の中に、自分が応援しているような政治家は一人も出てきません。

そのためフラットに各候補者について見る事が出来ましたが、当たり前ですが政党に係わらず、魅力的な人とそうでない人がいます。

自民党(ご存知、悪の枢軸)にも、イメージ通りの極道もいれば、親切で明快な人柄の議員もいる。

同じ選挙でも、候補者によってここまで対応が違うのか、と笑えたり感心したり戦慄したりします。

そう、やっぱり突撃取材。

怖~いシーンも登場するのです・・・。

 

しかし何と言っても、この映画をドラマチックにしているのが、選挙期間中に起こったあの銃殺事件です。

誰にも予想できなかった歴史を揺るがす事件に、改めて震撼します。

一気に深刻なムードに。

ここで、意外な人物の言動に、思わず泣かされてしまいます。

 

特に応援している政治家でも無い彼女ですが、人気があるのは納得できます。

自分の人柄と草の根活動だけで支持を広げてきた事が良く分かります。

たまたま決定的な瞬間に取材中だったというだけなのですが、この映画のハイライトであり、一番のメイン人物になってしまいました。

 

まさか選挙のドキュメンタリーで、笑いと恐怖と感動をすべて得る事ができるとは思いませんでした。

まだ上映館数は少ないようですが、お近くで上映されるようであれば是非!