隣町鶴岡市の善寳寺は平安時代の938年創建という古刹です。
日本遺産に認定されたのを記念して500羅漢像の特別公開があったので行ってきました。
因みに鶴岡市では3つ目の日本遺産認定だそうです。
このお寺は20年以上前に元祖人面魚で有名になったお寺で、その事は以前にもご紹介しました。
今までも、像が収められている5百羅漢堂の入口から中をみることは出来たのですが、今回は堂内をつぶさに拝見することができました。
私は以前奈良や京都で仕事をしていたので、数多くの仏像を拝観したことがありますが、正直言って今回拝見した531体の羅漢像の素晴らしさには驚きました。
造られたのが約150年程前とまだ新しいこともあり、像の細部はもちろん色彩も鮮やかに残っています。
羅漢像の表情には人間らしさが溢れており、ポーズや顔のつくりも多様で、その造形美も見事と思えるものです。
それぞれの像をずっと眺めていても飽きません。
当時の仏師たちの技術レベルの高さがうかがえます。現代ではもうとても造ることは出来ないのではと思いました。
明治時代の廃仏毀釈などの被害によく合わなかったものだとも思いました。
お寺のたたずまいもなかなか立派で、京都や首都圏の近隣などに有れば観光名所として多くの人が訪れるだろうなと思うほどの風格があります。
この5百羅漢像は、当時北前船で潤った豪商などの寄進によるものという事です。当時の人たちのエネルギーのようなものを感じます。
最近になって羅漢像の素晴らしさが見直されて、老朽化が目立つ像の修復が進められているとの事です。
現代の日本では、こういうものを新たに生み出すことはあり得ません。
今の若い人たちは宗教心も薄くなり、お寺や神社などを支えることができず、文化財にでも指定されていなければお寺などは将来消えていく運命なのでしょうか。仏像も芸術品としてしか残らないのではと思うと複雑な気持ちです。