国勢調査は、総務省から東京都を経由して多摩市へ流れて実施される。末端となる個別に記入された調査票を回収するのは市から委託された調査員だ。この仕事をここ数年続けている。国勢調査と言っても他に似たような住宅調査、農業調査云々毎年のように実施されている。実は海外での調査でも国勢調査(センサス)はともかく、交通量調査などは道路建設に欠かせない。その国の統計の精度を示すこの様な調査の末端はどうなっているのか、もとから興味はあった。

実際、現場に臨んでみるとそうした底辺が分かってくる。それぞれの調査で準備される質問票は統計学上から見てもおそらく精緻なものではあるが、内容が重複する事項も多い。回答を余儀なくされる末端の被調査員から、そうしたことへの不満が出るのも当然だろう。商業調査では駅前に連なる商店街の店が対象となり居酒屋やスナックなども含まれる。こうした業種は総じて税務署への嫌悪感が先に立ち調査を拒否する輩も少なくない。

多摩市の地域は、統計にも示されるように高齢者が多く住んでいる。調査への協力はおおむね好意的でその民意度が窺われる。時には家に招かれることもある。若年層も近年増えてはきているが、個人情報が漏れることを恐れるあまりなのか彼らの態度は調査に懐疑的ではある。