博士の愛した数式
第一回本屋大賞受賞
博士の愛した数式 小川洋子
【あらすじ】
家政婦の私が、派遣された家の主人は事故の後遺症を抱えた男性であった。
数論専門の元大学教師である彼(博士)の記憶は1975年でとまっている。
現在の記憶は、80分しかもたない。
数を愛し、大切なことはメモにして体に貼り付ける博士と家政婦のわたし、
そして私が女でひとつで育ててきた小学生になる息子(ルート)の日々がはじまる・・・
【感想】
「実生活の役に立たないからこそ、数学の秩序は美しいのだ」
僕は思うに、博士はとても幸せであったと思う。
80分しか記憶がもたないというのは、考えようによっては
80分以上記憶が残る世界で生きていけないという事を意味する気がする。
早さや、賞金ではなく、美しい証明を求める博士は、とても寛大で繊細で純粋だ。
博士は、家政婦の息子に「ルート」というあだ名をつけた。
「君はルートだよ。どんな数字でも嫌がらず自分の中にかくまってやる、実に寛大な記号、ルートだ」
素敵なあだ名だ。
物語は、微笑ましく、朗らかで、せつなく、同時に悲しくもなる。(ノ_・。)
永遠の真実、線分ではなく直線は本当に胸の内にあるのだろうか?
背番号28。完全数を背負った江夏豊が、物語のスパイスになっている。
普段、人混みにまみれている人は是非。
- 博士の愛した数式 (新潮文庫)/小川 洋子
- ¥460
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ノルウェイの森
ノルウェイの森 村上 春樹
【あらすじ】
主人公は、街で偶然、高校時代に自殺してしまった唯一の友人キズキの恋人であった
直子と出会う。
直子に惹かれていくが、直子はキズキの死を引きずり、心を病み療養所へ入所してしまう。
主人公はそれでも直子を想い続けるが、大学で同じ授業を受けている緑という女性
との出会いで、心が揺れ動く。
【感想】
映画化されるというので、読みました。
・・・・・・
・・・・・・
ほんと、究極の恋愛小説でした。
胸がしめつけられます。
昔、読んだ本ですが、純愛をするとその人間の魂は半分に分かれ、片方が
愛する人間へと向かい成就すれば、それが一体になる。
肉体ではなく、精神でつながる。
直子とキズキ君の関係は、直子が「どこかの部分でくっつき合っているような」といったとおり、
悲しいくらい精神的に結びついていた。
主人公が、どんなに直子を愛そうとも、直子を追いかけようとも、直子は誰かをおっていて、
「僕は、闇に何度も手をのばしても、指には何も触れない。
蛍。その小さな光は、いつも僕の指のほんの少し先にあった。」
ああ・・・切ない(´_`。)
「肩の力を抜けばもっと楽になるよ・・・」
僕が話すと、直子は
「どうしてそんなこと言うの?」
「・・・・もし私が今肩の力を抜いたら、私バラバラになっちゃうのよ・・・」
直子は純粋すぎた。
世間はみんな歪んでいる。
歪んでいることに気がつかない、ねじまがった俗物が元気に動いている。
純粋がゆえに、直子は歪みを受け入れられないし、肩の力を抜けない。
外部との、そして自分の歪みを認めるために僕をリンクとして世界と関わろう
とするが、、、、
自分がキズキ君のもとにあった直子同様、半分が直子の元へいってしまった
僕は、もう直子と同じ道を辿るしかないのかと思う。
歪みを受け入れられない、俗世間との関わりを絶った世界。
当然、実世界から切り離され、「どこにいるのか?」なんてわからない。
「ギリシャ悲劇より深刻な問題が現在の世界に存在するとは思えない」
と、作中にあったように、僕はこの小説を悲劇と読んだのだけれどまだまだ読み足りないの
だろうか?
冒頭で、次第に記憶が薄れていく37才になった僕が、スチュワーデスにむかって、(ノルウェイの
森にむかって?)「さよなら」といえたように、僕の半分の魂は僕にもどってきて、
世界との関わりの中で、生きていけるのだろうか?
主人公が、沢山本を読むという種類の読書家ではなく、気に入った本を何度も読み返すこと
を好んだように 僕もこの小説は何度も読み返そうと思う。(・ε・)
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蝉しぐれ
蝉しぐれ 藤沢周平
以前新聞で、著名人が選ぶ「泣ける本」という特集で、この「蝉しぐれ」 が選ばれていたのを覚えている。
いつか読もう、いつか読もうと思い何年も経ってしまった。(・∀・)
本を選ぶ時、多くの人は題名やあらすじ、最初の1文、1ページを参考にすると思う。
歴史が苦手というか、興味があまりない私は、
「海坂藩普請組の組屋敷には・・・・」 という、最初の文が少なからず抵抗があったのは事実だった。
今回読もうと思ったのは、そういった抵抗感を押しのけてでもひきつける 飢えみたいなものが自分の中にあったのだと思う。
カッコつけた言い方だ(゚Ω゚;)
ただ、真面目な話、年齢を重ねるごとに趣向は変わってくるというのは あるかと思う。
例えば、京都に寺巡りにいくとか、ジャズの生演奏を聴くとか、ちょっとした観葉植物を 部屋に置いてみるであるとか。。。
それらは、決して学生の頃に惹かれるものではなかった。
年とともに、体や精神が欲しがっていくもの。
僕にとっての、藤沢周平・蝉しぐれもそんな位置付けかもしれないっすヽ(゜▽、゜)ノ
って前置きが長くなったので、さっそくあらすじと感想です。
【あらすじ】
牧文四朗という、少年藩士の人生を描いている。
大柄で豪胆で酒や女が好きな小和田逸平、武道はてんで駄目だが、 学問はずば抜けている島崎与ノ助。
性格の異なる友人らと共に、相談しあい、助けあいながら少しずつ大人になっていくのだが、
そんな文四朗には、とても苦しく厳しい出来事が待ち構えているのだった。。。
【感想】
確かに胸にジーンとくるし、(読み終わった後、再度表紙をみてみると。。。)
背景の描写や懐かしさに郷愁感を覚えるが、個人的には文四朗という人間に
やられれた。
読む前と、読み終わった後で人格が変わる人がでてくるのではなか?と思う。
魅力的な主人公は、読み終えた後でも日常生活の端々に現われて読者の 行動に影響を与える。
時代は、違えども変わらないんだなーというものは、いくらでもある。
少年期の異性に対する淡い恋心や、性に対する羞恥心。両親に対する反感や尊敬。
敵対グループとの喧嘩等。
そして、人生の理不尽は苦しみ、不幸。
日曜の夜。
ああーー明日から学校だー(ノ_-。)
嫌な奴と顔を合わせなければいけない、、腹立つ先輩いるよ、、生意気な後輩いるよ、、、
勉強めんどくさい、、、何のために勉強なんて、、、
ああーーー明日から仕事だ、、、朝6時起きだ、、、
営業成績のプレッシャーが、、、クレームの対応が、、、、(iДi)
そうっすよねー。人生きつい事おおいですよねー。
でもそんな時、文四朗なら、、、って頭に思い浮かべるんですよ。
文四朗が、誠実に、そして耐え抜いた日々を。 (ノω・、)
焼けつくような日差しの中、嘲りの中を一歩一歩荷車を引いた景色を!!ヽ(`Д´)ノ
アザだらけになった日々を!!
暑い夏も、耳をつんざくような蝉しぐれも、あの時代と変わらないのに、
人は、少し弱弱しくなった気がするのはなぜだろう?
ああ、、文四朗!!俺はお前に負けないぞ!!!!
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