はじまりは1本の電話でした。




母が亡くなって三回忌が終わった頃、突如、冬は沖縄で暖かい暮らしをしたいと父から告られ、急遽姉と2人でウイークリーマンションを探し送り出してふた月ほど経った頃でした。




実は沖縄で出会った女性と良い感じになり

一緒になりたいと思っている、と。




私はその言葉に固まりました。




今まで連絡を取り合っていた中でそんな話題は全く出ていなかったし、父がまた誰かと結婚したいと考えていたとは全く思っていませんでしたから。





母が脳腫瘍の闘病の末亡くなった時、私も姉もこれから1人になった父を2人で支えて行くのだとずっと思っていました。




父は完全に浮かれており、周りが見えていない状況でした。今まで一人で耐えていた寂しい日々から一転、明るく楽しい日々に変わったのですから。




そして父の性格的に旅先で気が大きくなっているのも一目瞭然でした。




なので、彼女とのいきさつや父の気持ちは一通り聞きましたが、とにかく落ち着いて冷静に考えて欲しいと伝えました。





何よりまだ出会ってひと月程しか経っていないようでしたので。




電話を終えた私の衝撃は相当なものでした。




そしてそれ以上に、父の浮かれた声と恋愛事情を聞いたのが相当なストレスでした。




自分の両親の馴れ初め話を聞くのは微笑ましくとも、リアルな他人との恋愛話は生理的にとても苦痛なものでした。





しかし、その後の父は私の心情もお構い無しに、ずっと心に秘めていた事をやっと打ち明けられたという安心感もあったのか、徐々に無遠慮に、私に彼女と自分の出来事を語るようになってきました。





自分と彼女の相性はとても良いとか、彼女の人柄や経歴もとても素晴らしいものだということを。





とにかく娘の私達に認めてもらいたいという思いもあったのでしょうが、私達には全く響くことはなく、楽しい今だけしか見えていない父に逆にどんどん冷めていきました。





何より私達にはまだまだ母への思いが強く残っていたし、そこに違う人にはいられるのはすごく嫌でした。





それでも、父の寂しさは私達が思っているよりも大きいものだと言うのも理解出来たので、まずは友達付き合いを深めて時間をもっとかけて欲し事を伝えました。







そして、またひとつの出来事が父の彼女に対する思いを強くする事になりました。