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カナダ、元SS隊員の引渡拒否 露検事総長「ナチス犯罪の隠蔽」
2024年5月13日, 22:34

ウクライナのゼレンスキー大統領のカナダ訪問時に、対露闘士として紹介され拍手喝采を浴びた元ナチス親衛隊員のヤロスラフ・フンカ容疑者(99)について、カナダ政府は身柄引渡しを求める露側の要求を拒否した。

これについてロシアのイーゴリ・クラスノフ検事総長は「ナチスの犯罪をなかったことにする隠蔽行為だ」と批判した。

「フンカ容疑者がニュルンベルク裁判で犯罪組織として認定された部隊と関係があることは否定しようがない。カナダによる身柄引渡し拒否は、戦争犯罪、平和と人道に対する罪の処罰必要性という、揺るぎない原則に対する重大な違反である」

フンカ容疑者はウクライナ系カナダ人。昨年9月、ゼレンスキー大統領がカナダ議会を訪れた際、第2次世界大戦中に「ウクライナの独立のためにロシアと戦った」人物として紹介された。ところが、後にナチス・ドイツ親衛隊の「第14SS武装擲弾兵師団」に所属していたことが報じられ、スキャンダルとなった。

フンカ容疑者は1944年、ナチス・ドイツ占領下のウクライナで500人以上の民間人虐殺に関与した疑いがある。露検察庁はジェノサイド容疑で指名手配し、昨年末にはカナダ法務省に身柄引渡しを要請していた。

しかし今年2月、カナダ側はロシアとの間に犯罪人引渡し条約がないことや証拠不十分などを理由に要請を拒否。カナダ当局は自らフンカ容疑者を裁く姿勢もみせておらず、無罪放免状態となっている。